約 2,716,614 件
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/1784.html
autolink() CN/SE02-26 カード名:カナンの名を持つ存在 カテゴリ:クライマックス 色:赤 トリガー:扉 【永】あなたのキャラすべてに、パワーを+1000し、ソウルを+1。 (扉:このカードがトリガーした時、あなたは自分の控え室のキャラを1枚選び、手札に戻してよい) アルファルド「どうだ、憎しみから戦う気分は?泥のようだろう・・・・・・」 レアリティ:C illust.CHUNSOFT/Project CANAAN 初出 コンプティーク2009年3月号増刊TYPE-MOONエースVol.2 ・対応キャラ カード名 レベル/コスト パワー/ソウル 色 姉妹弟子 カナン&アルファルド 1/0 4500/1 赤
https://w.atwiki.jp/tplcg/pages/3.html
カウンター 今日 - 人 昨日 - 人 合計 - 人 現在-人が閲覧中。 更新履歴 取得中です。
https://w.atwiki.jp/pam-iwate/pages/1067.html
八幡平アスピーテライン 開通は4月下旬。20日間ほどは、道の両側は雪の回廊が続きます。場所によっては6メートルを越える雪の壁の中を抜けるコースは絶景です。冬の忘れ物ともいえる「雪の回廊」は冬と初夏が交差する不思議な景観です。 お問合せ 田沢湖観光情報センター「フォレイク」 TEL:0187−43−2111 パンフレット ※画像をクリックするとパンフレットが開きます。 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ホームページ http //www.city.semboku.akita.jp/sightseeing/spot/01_yuki.html 〈ブログ〉 八幡平ドライブイン・・・秋田県鹿角市 http //blogs.yahoo.co.jp/ride_through_winds/10186261.html ふけの湯・・・秋田県鹿角市 http //blogs.yahoo.co.jp/ride_through_winds/10115756.html 八幡平アスピーテライン・・・岩手県八幡平市 http //blogs.yahoo.co.jp/ride_through_winds/10083658.html 玉川温泉〜角館 http //blogs.yahoo.co.jp/nononaha99/49698743.html 東北縦断!3泊5日キャンプ泊ツーリング(その19) http //blogs.yahoo.co.jp/garacyan/62493153.html みちのくタンデム・ツー・・・な日々★⌒ 其の弐 http //blogs.yahoo.co.jp/hayabusahiko/49524374.html 八幡平 http //blogs.yahoo.co.jp/akaashi20/29924453.html 大沼♪ http //blogs.yahoo.co.jp/memi_38/30765451.html 八幡平♪ http //blogs.yahoo.co.jp/memi_38/30735219.html 東北ぐるりの旅「八幡平と十和田湖」 http //blogs.yahoo.co.jp/t_masuda929/59844059.html 八幡平アスピーデラインを走る……東北ツーリング3日目 http //blogs.yahoo.co.jp/mitsuru_9566/58942246.html 家族ツーリング3日目 http //blogs.yahoo.co.jp/pony_garage/41625950.html 東北の旅(その2) http //blogs.yahoo.co.jp/mtas6951310/59324991.html 八幡平縦走 09.6.20 http //blogs.yahoo.co.jp/ndtpn49944/48717126.html 東北旅行⑤ http //blogs.yahoo.co.jp/qhsjn085/39033643.html 八幡平の雪 http //blogs.yahoo.co.jp/taka_m925/58109928.html 八幡平アスピーテラインドライブ☆ http //blogs.yahoo.co.jp/runa_wanko/29220605.html 2009雪の回廊(八幡平) http //blogs.yahoo.co.jp/kazuhiroiku/52138403.html 【2日目後編】裏岩手スキー縦走 http //blogs.yahoo.co.jp/imai_tr/47579858.html 見返峠から見たパノラマ風景 http //blogs.yahoo.co.jp/kfuji_taxi/59114029.html 携帯サイト 最新のチラシ imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 《周辺情報》 #blogsearch /
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/2749.html
冬季オリンピック 冬季オリンピックのマスコットたち 2010バンクーバー コメント オリンピックとは、4年に1度開催される、世界的なスポーツ大会であり、冬季オリンピックは1924年から開始された。 冬季オリンピックのマスコットたち ヒメグマ♂ ミーシャ(1980モスクワ)。 ポチエナorリオル 名前不明(1984サラエボ)。 ホーホー×4 スノーレッツ(1998長野)。 ニックネームはスッキー、ノッキー、レッキー、ツッキーで。 色違いミミロル パウダー 色違いポチエナ カッパー リングマ 不明(2002ソルトレイクシティ) フリージオ グリッツ バニプッチ♀ ネーベ (2006トリノ) ユキノオーorケッキング♂ クワッチ(未確認生物サスクワッチがモチーフなので) クマシュンorフタチマルorジュゴン♀ ミーガ(前者はシロクマなので、2番目は外見から。もしかしたらインスパイア?!) エモンガ♂ スーミ(サンダーバードの翼を持った哺乳類系統なので) (2010バンクーバー)。 2010バンクーバー デデンネ:マックマック コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 2022北京 ヤンチャム ビン・ドゥンドゥン バケッチャ:シュエ・ロンロン -- (ミキ) 2019-09-18 03 55 51 バンダビはキテルグマでも合いそうです。 -- (ユリス) 2018-03-17 12 17 58 1998長野 マリルリ:パラッビト 2002ソルトレイク ブイゼル:オット 2006トリノ カチコール:アステル 2014ソチ エーフィ:レイ・オブ・ライト グレイシア:スノーフレーク -- (ミキ) 2016-08-08 18 41 54 2018ヒョンチャン コリンク:スホラン リングマ:バンダビ 1988カルガリー クマシュン×2:ハウディ&ハイディ 1992アルベールビル ジラーチ:マジーク 1994リレハンメル マイナン:ハーコン プラスル:クリスティン -- (ミキ) 2016-08-08 18 33 09 草案 レイクプラシッド マッスグマ:ロニ -- (ユリス) 2014-11-24 21 52 01 草案 トリノ クレベース:グリッツ バンクーバー ゴロンダ:クワッチ ニャオニクス:ミーガ オンバット:スーミ -- (名無しさん) 2014-11-24 20 40 05 草案 2010バンクーバー デデンネ:マックマック 2014ソチ ツンベアー&ミミロル&シシコ -- (ジャイポ) 2014-02-18 16 27 31
https://w.atwiki.jp/tohomusicdb/pages/746.html
凍り付いた永遠の都 収録作品:東方紺珠伝 〜 Legacy of Lunatic Kingdom. シーン:4面道中テーマ データ BPM 166~168 拍子 4/4拍子 再生時間 2 52 調性 【0 00~】ヘ短調 ( Fm )【1 09~】変イ短調 ( Abm )【2 20~】嬰へ短調 ( F#m ) 使用楽器 Piano,Sax,Tpなど コード進行 【イントロ(一回目)(16小節)】DbM7 ーーー|Absus4/Db ーーー|DbM7ーーー| ー ー Eb7 ー| Fm ーーー| Fmadd9 ーーー| Fm ーーー|Fm7 ー Csus4/F ー|DbM7 ーーー|Absus4/Db ーーー|DbM7ーーー| ー ー Eb7 ー| Fm ーーー| Fmadd9 ーーー| Fm ーーー|Fm7 ー Eb6 ー|【Aメロ(16小節)】Fm ーーー|ーーーー|Db ー Ebー|Edim ー C/E ー|Fm ーーー|ーーーー|Db ー Ebー| Fm ー ー ー|【Bメロ(16小節)】Db ーーー|Eb ーーー|Fm ーーー|ーーー Eb|×4【間奏(8小節)】EM7 ーーー|Bsus4/Db ーーー|EM7 ーーー| ー ー F#7 ー|Abmーーー|Abmadd9 ーーー|Abm ーーー|Abm7 ー Ab7sus4ー|【サビ(32小節)】F#m ーーー|ーーーー|D ー Eー| Fdim ー C#/F ー| ↓F#m ーーー|ーーーー|D ー Eー| F#m ー ー ー|×3F#m ーーー|ーーーー|D ー Eー| Fdim ー C#/F ー|F#m ーーー|ーーーー|D ー Eー|F#sus4 ー F#m ー|【アウトロ(16小節)】 D ーーー|ーーーー|ーーーー|ーー E ー| ↓Fm ーーー|ーーーー|ーーーー|ーーーー|×2【イントロ(2回目)(16小節)】一回目と同様(Aメロへ戻る) ZUN氏コメント 4面のテーマです。月の都です。でもある理由でゴーストタウンと化しています。穏やかな雰囲気の曲が、逆に狂気をイメージさせます。STGよりはRPG終盤の様な曲ですね。まあ終盤ですし。(出典:東方紺珠伝 Music Room より) 解説 コメント この曲の話題なら何でもOK! ページ作成しました。 -- (匿名) 2021-01-10 17 26 48 コード進行の欄は自信があまりないので気付いた方は訂正をよろしくお願いします -- (匿名) 2021-01-10 17 38 37 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/gods/pages/6489.html
ケルピック ケルピーの別名。
https://w.atwiki.jp/mioazu/pages/149.html
――チュンチュン、チチチ……。 「ん……朝、か」 外から聞こえる小鳥のさえずり、そしてカーテンの隙間からもれる朝の陽射しで目が覚めた。 日はまだ昇ったばかりみたいで、外はまだほんの少し薄暗い。 ――と、 「……む?」 体を起こそうとしたところ、何だかやけに身体がスースーしている妙な感じに加え自分以外に温かくて柔らかな感触がすぐ傍にあるような。 横に目をやると、 「うーん……むにゃ……」 「……あ」 梓が、私の傍らでわずかに背を丸めて幸せそうに眠っている。 おまけにお互い何も着ておらず、生まれた時のままの姿だった。 ――そうだ、そうだった。 昨日は一緒にお風呂に入って――お風呂に入ってる時もイチャイチャしたんだけど――上がってからそのまま一緒に布団に潜り込んで抱き合って……。 「(そのまま、眠っちゃったんだっけ)」 とりあえず梓を起こさないよう慎重に布団から出て、服を着ると居間に移動。 今日は私の方で早くから講義が入っているので、あまりゆっくりはしていられない。 ――大学に入り一年が過ぎ、そして梓が同じ大学に無事に入学してからもう既に一ヶ月。 現在、梓は私と同じ一緒の部屋で暮らしている。 梓を一人暮らしさせるのが心配だったというのもあるけど、私自身が梓と一緒に暮らしたかったというのが一番の理由だった。 ……単なる私のわがままといえばそれまでだが、そんな私のわがままに最初は躊躇していただが最終的には、 「そ、その……ふつつか者ですけど、よろしくお願いします、澪先輩」 ……と、顔を真っ赤にしながらも受け入れてくれた。 大学の仲間内からは「姉妹のように仲の良い二人」と思われているみたいで、実際の仲を知っているのは当人である私達とあとは……二年生に三人ほどいたりする。 まあ、それはさておきとして。 エプロンを付けて台所に向かい、朝ごはんの支度に取り掛かる。 「さて今日は……と」 まずはご飯を炊いて、おみそ汁を作る。 昨日は豆腐とワカメだったので、今日は玉ねぎとじゃがいものおみそ汁にした。 それと同時に定番といえる、だし巻きたまごを作ると余り物のこんにゃくをおかか煮にして準備オーケー。 あとは鮭にさっと塩をかけ、火に入れて焼き上がるのを待つだけだ。 「よし、こんなとこかな」 ――この一年の間に、私の料理の腕もそれなりに上達した。 大学に入った当初は生活に慣れるのに大変で食事はコンビニの弁当などで済ませることも多かったが、それでは栄養も偏り体によくないので生活に慣れてくると次第に自分で自炊するようになった。 よく実家のママに作り方やレシピを教わったかいもあり、人前には料理が上手くなった気がする。 作れるのが専ら和食なのはまあ、洋食だとカロリーを取りすぎそうなきらいがあったからだ。 「けど梓の分も作るようになって大変かと思ったけど、作りがいがあるから一人分だけ作るより味が良くなった気がするな……」 「え、本当ですか?」 「うん。料理は愛情って言うけど、やっぱり好きな人に食事を作るとなると自然に愛情が込もるから、それだけ味が良くなるんだろうな。 私から梓への愛情ということなら、尚更だ……って、え?」 慌てて後ろを振り返る。 「あ、梓!?」 「お、おはようございます澪先輩」 そこには、朝から顔を赤くした――服はちゃんと着てきている――梓がいた。 「い、いつからいたんだ?」 「つい、さっきからです」 「そ、そっか。 でも梓の方は今日講義がお昼近くからだからまだ寝てても大丈夫だぞ? 朝ごはんならちゃんと作って置いとくからさ」 今日は私の方で早くから講義があるが、梓は昼頃からなので無理に私に合わせて起きてくることはない。 ――しかし、 「そんなのいやです」 梓は何やら、むっとした様子で言葉を返してきた。 「? どうしてさ?」 理由をたずねると梓は目を伏せながら、 「だって……起きた時に先輩がいなくなってたら、いやです。寂しいじゃないですか」 そんな、かわいいコトを口にしていた。 赤い顔をしながらそんなコトを言うのは反則だよ、梓。 「梓」 「あっ……」 思わず手が伸びて、梓を自分の腕の中に抱きしめる。 いつ抱きしめても小さくて華奢ながら、あたたかくてすごく抱き心地が良い。 「大丈夫さ。 梓を置いて勝手にどこかになんて、行ったりしないよ。 私達、ずっと一緒だろ?」 ――そう、決めたんだ。 私は梓の傍にずっと一緒にいるって。 梓の傍で、梓の笑顔を見ていたいから。そしてその梓の笑顔を守っていこうと。 私自身の手でずっと――。 「……はい。ずっと一緒です、私達」 梓もそっと腕を私の背に回し、抱き返してくれた。 朝からなんだか幸せすぎて、頭がぼうっとしてくる。 「……あ、先輩、焼いてる鮭大丈夫ですか?」 「え? わわっ!」 振り返りコンロに入っている鮭に目をやると、もう充分に焼き上がっており慌てて火を止めた。 「ふう……危なかった。もう少し遅れてたら、見事なコゲ魚になってたな」 「ご、ごめんなさい」 「いや、梓のせいじゃないよ。 朝から梓に夢中になってしまった私のミスさ」 「!? せ、先輩っ!」 ますます顔を赤くする梓を尻目に、テーブルに朝食を並べていく。 「さ、せっかく起きたんだし一緒に朝ごはん食べよ?」 「もう……先輩ったら」 「ほら、冷めないうちに」 「は、はい」 いや、何はともあれ、調理中に梓と甘々なモードになるのは禁物だな。 「じゃあ先に行ってくる。戸締まりよろしくな、梓」 「はいっ」 朝ごはんを食べ終え二人で食器の片付けを済ませると、私は先に大学へ向かうため支度を整えた所で玄関に出る。 ――と、 「あ、先輩」 「ん、なん――」 振り向いた瞬間、梓の顔が目の前にあり唇に柔らかな感触が走る。 「……いってらっしゃいです、澪先輩」 唇が離れると、梓は暖かな笑みを浮かべながら私を真っすぐに見つめていた。 朝の陽射しに負けないほどに、その笑顔と瞳は輝いていた。 「ああ、いってきます」 「んっ……」 今度は私の方からそっと梓と唇を合わせにいく。 出かける間際にキスなんてなんだか新婚夫婦みたいだな、とそんなコトを考えたり。 「昼休みになったら梓の所にいくから、一緒に昼ごはん食べような」 「はいっ!」 そうして、愛する人の見送りを受けて一足先に玄関を後にした。 ――時間が経つに連れ、様々なものが変わっていく。周りの環境、そして自分自身。 だがこの想いだけは未来永劫、決して変わることはない。絶対に。 こうして今も、そしてこれからもずっと。 梓と心を繋ぎ、いつか見た蒼空の下を歩き続けていく―― (FIN)
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/675.html
194 名前:名無しさん 投稿日:[ここ壊れてます] ID kakukoto0 193 頑張れスネーク そっちに行けないオレのためにまずは美少女をうpするんだ 195 名前:193 投稿日:[ここ壊れてます] ID 876543210 http //*******/***/*****.jpg (マジでグロ注意。画面の端にあるのはID書いた紙な) 見ても文句いうなよホント… 俺なんかメートルぐらいの場所にいるんだぜorz 196 名前:名無しさん 投稿日:[ここ壊れてます] ID kakukoto0 ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!! こっち見んな!! 首だけこっち見て笑うなあああああああああああああ!!!! そのグロ画像がリアルで 193の頭上を滑空した。 反射的にそれを撮影しようと携帯を構えた頃にはもう遅い。群衆の垣根を弾丸のように乗り 越えたグロ画像は交差点のはるか向こうでくるりと宙返りを打ち、羽根を生やすと恐ろしい速 度で天に昇って行った。それめがけて銀色の全身コートが恐ろしい速度で疾駆してもいる。 一体何が起こっているのか分からない。隣の者に聞こうにも、やっぱり携帯片手に呆気に 取られているだけで分からない。 仕方ないので 193は本日二度目のポルナレフAAを使用した。縮小版の。 そして彼(または彼女)のあずかり知らぬ領域で、下記のように状況は推移していた。 「人気のない場所へ奴を誘導する。ついて来い」 ガンマンならば銃口から紫煙がくゆっているだろう。 鐶の居たすぐ前で拳を突き出す防人に斗貴子はそんな錯覚を覚えた。 (私が攻撃するより先に吹き飛ばすとは) バルキリースカートで斬ろうとした頃にはすでにブラウンのグローブがちりちりと空気を焼き ながら鐶の腹に迫っていた。一体いつの間に距離を詰めていたのか。傍観者たる斗貴子さえ 考える余裕もなく、鐶は身を丸め、残暑でむせかえる風を吹き散らかしながら望まぬ飛行を 遂げていた。 (ホムンクルスといえど子供の姿をした者を殴るのは嫌な気分だが、奴らの本拠地を突き止め るにはああするしかない) 銀の長い裾をはためかせながら防人もまた群衆を飛び越え追撃に移った。 どこからともなく、引きつった声が漏れた。 「すげえ。アスファルトがまるでゆで卵の殻みたいに砕けた……」 つま先で蹴り割った道路を起点に加速した銀影が、だだっ広い交差点をグンと縦断していく。 「初め……まして。私は鐶光(たまきひかる)といいます。鐶は金偏(かねへん)……です。でも 王偏(たまへん・おうへん)の環でもいいです。どっちもパソコンの変換候補に……あったような」 空を飛びながら、鐶は誰にともなく自己紹介をしていた。 「…………あれ?」 しかし周囲には誰もいない。彼女は腕組みをして考え込んだ。 そして結論。くるりと宙返りを打つと、みぞおちの辺りに白鳥じみた白い手を当てた。 「殴られて吹き飛んだよう……です」 フクロウのように百八十度旋回した虚ろの視線の先には、夏臭い砂ぼこりを足元にうっすら 毛羽立て徐々に間合いを詰める防人しかいない。群衆ははるか彼方だ。 「……搦め手は無理のようなので…………空中から…………攻撃……しますね」 背中から広げた大きな翼が落下と後退の慣性をふわりと相殺する。 「残量は……十分」 そしてちらりと短剣に一瞥をくれると、緩やかに羽ばたき、ホバリングへと移行。 専門用語ではコレを停空飛翔(ていくうひしょう)という。有名なハチドリ以外ではハヤブサ科 のチョウゲンボウがこの習性を持つ。エサのネズミなどを捉える直前に行うのだ。 「……とにかく、相手はまだ六人…………。『切り札』の出番は……後、ですね」 羽ばたきに波打つスカートからポケットを探り当てた鐶は、そこから取り出した純白のバンダ ナで赤い頭頂部をすっぽり覆い、三つ編みの付け根へリボンのようにくくりつけた。 (まずは俺が先陣を切ろう) 自動車顔負けの速度で周縁視野の景色が流れ行き、停空飛翔中の鐶の姿を防人は捉えた。 バンダナを被った以外変化なし。防人は迷わず足を進める。 (果たしてどこまで戦えるか分からないが) かつて五千百度の炎に身を晒し、「回復しても以前と同様に戦えるかどうか」と明言された 防人である。 攻撃を加えた筈の手に嫌な疼痛が走り、ただの疾走にさえ呼吸は微妙な──傍目からは 一糸も乱れていないが防人にだけは分かる範囲での──乱れを見せている。 「貴殿には私と戦士・斗貴子を敵の元へ運搬してもらう」 「ふぇ!? 無理だよそんなの」 根来に詰め寄られた千歳は、ぶかぶかの再殺部隊の制服の肩やスカートのホックを懸命に 押さえながらぶんぶんと首を振った。 「だってヘルメスドライブが運べる質量は最大百キログラムまでで、大人なら二人分までだよ? だから三人運ぶのなんて無理。みんなで走った方が早いんじゃ」 「いや、無理ではない」 三人の状況を見た斗貴子は根来に同調した。千歳も「あ」と口に手を当てた。 「そういえば皆、服が……」 「振り向くな……! 希望の空に……飛ばせ……イーグル」 それがまるで呪文だったかのように鐶のバンダナへ何かが浮かんだ。 丸々とした瞳と先端が黒く染まった鉤状の黄色いくちばしと、そして布地の上半分を染める 黒の色。こちらは目の少し下から、涙か頬ひげのようにUの字で垂れ下がっている。 明らかにそれは鳥の顔であった。目の下の黒い模様が「頬ひげ状パッチ」という身体的特徴 を意識しているのであればハヤブサの顔だろう。 奇しくも鐶の背中から生える翼もまたハヤブサよろしくブーメランのように尖っている。 ホムンクルス特有のメカニックな形状とハヤブサの色彩(上面は青灰色、下面も白地に黒の 縦斑)を共有しているのだ 「ちなみに……イーグルはワシで、ハヤブサはファルコンですが……えぇと、その、いいです」 何がどういいのか分からぬが、鐶はともかく太陽に向って垂直に上昇した。 「……カラス?」 途中軽く肩が当たった鳥を不思議そうに眺めながら、鐶はゆっくりと頭を下げ──… やや影の濃くなった道路の中央で防人は歩みを止めた。 両側にはビル街があり、正面高くには羽根を生やした少女が浮かんでいる。 (敵がまだもう一人残っている以上、これ以上の戦力の減少は食い止めたい。だからまずは 俺が奴に攻撃を加え、他の戦士の追撃を促す) 昇りゆく鐶に逃走の気配は見えない。 (倒せずともいい。シルバースキンリバースを当てる隙さえ生まれれば──…) 防人は拳を固めると、低く腰を落として身構えた。 (だがただ撃つだけでは仕損じる恐れがある。まずは隙を作るコトに専念だ) 群衆はそれまでそこにいたセーラー服とぶかぶか服の幼女と陰気臭い殺人少年の姿が消 失しているのに気づくとみな一様に首をひねった。 本当にそんな連中は居たのだろうか。 思い返せば一連の出来事は総て夢の中の物だったような気がしてきた。 「あの。すいません。この辺りでこう、銀色のコートを着た体格のいい人を見ませんでしたか? おかっぱ頭のセーラー服の女の子でもいいんですけど」 「えぇと。銀色ならあっちの方に飛んで行ったと思うけど、本当に居たのかなぁ、アレは」 「そう。ありがとう」 問われた者は答える最中こそ茫然としていたが、やがて耳に届く声が恐ろしく湿った艶のあ る声だと気づくと慌てて横を見た。しかしそこではもう長い黒髪が人混みにサっと隠れる瞬間で 声の主がいかなる姿かは分からなかった。 「私の治療のためにちょっと遅れちゃったわね。とにかく急ぎましょう」 「はいはい」 乾いたノド声と同時に二つの影が滑るように交差点を後にした。 ハヤブサは獲物を見つけると、まずはその斜め上まで飛びあがる。 そして獲物めがけて斜めに急降下し、後ろについた鋭い爪(後趾・こうし)によって重傷ない し致命傷を与える。アオバトなどは無残にも片翼が吹き飛ぶというから威力は推して知るべし。 ……そして鐶は防人を獲物と認めたらしい。 翼を揃えバンダナのハヤブサ顔を下向けて、轟然たる滑空を開始した。 群衆はビル街に向って轟然と落下する影を見たが、最早近づこうという者はいなかった。 鳥類最速は急降下時のハヤブサである。 一説では急降下角度が30度なら時速270km。45度ならば実に時速350km。 500系新幹線の最高時速が300kmなのを考えるとなかなか恐ろしい。 資料によってはリニアモーターカーをも凌ぐ時速440kmという驚異的数値さえある。 そもハヤブサの語源は「はやとぶさ(素早い翼)」なのだ。 それが居並ぶビルのガラスを水しぶきのように巻き上げつつ、防人へ殺到! いつしか完全にハヤブサの形状と化した鐶は腰をぐなりと曲げ足を突き出し。 防人はありったけの力でアスファルトを踏みぬきながら、順突きを繰り出した。 転瞬。 蹴りあげる後趾の爪が防護服を貫通し、防人の胸を斬り裂いた。 一方、彼の拳は鐶の服部に深々と突き刺さった。 同時に両者の激突によって行き場をなくした時速300km越えの急降下の衝撃と防人の踏 み込みの衝撃が彼らの接点で拮抗し反駁しあい、やがて爆発のようにあたりを薙いだ。 道路は路側帯も横断歩道も巻き込んで打ち砕け、ガラスの雨もヘキサゴンパネルも吹き飛 んだ。アスファルトの破片が手近なビルの玄関に飛びこみ派手な音を立てた。歩道の隅では 白いガードパイプがいくつも無残にひしゃげ、半ばから折れるイチョウの街路樹さえあった。 もし防人に競り勝った要因を聞けば、「地面に足をついていた」その一点のみ主張するだろう。 奥歯を噛みしめ拳を振り抜いた彼は、かろうじてだが鐶を吹き飛ばした。 彼女は中空に漂っていたため踏ん張りが聞かない。攻撃前はそれでも翼と重力による滑空 によって攻撃に不足はなかったが、しかし攻撃後の支えとするには、防人の攻撃の威力を相 殺するには翼二つではいささか不安定すぎた。 (一撃必殺・ブラボー正拳) 放った技を呼びながら、防人は大腿部に両手を当て痛々しい吐息をついた。 (カウンターならばと思ったが、今の俺ではかつての威力の半分も出せないようだ……) わずかしか戦っていないのに、疼痛と疲労と虚脱感が一気に襲いかかって胃の中の物を全 て戻したくなるほどの嫌な感覚がある。 「だが」 「み、みんな年齢を吸い取られて小さくなったから、一度に三人を運べるんだよ」 一瞬で五十メートルほど吹き飛んだ鐶は薄く眼を剥いた。 吹き飛ぶ彼女のすぐ傍に六角形の楯が出てきたと見るや、三つの影が出現したのだ。 「よって追撃をさせてもらうぞホムンクルス!」 「シークレットトレイル必勝の型。真・鶉隠れ」 舞い飛ぶ鐶が態勢を立て直そうとする頃にはもう遅い。 嵐のような処刑鎌と忍者刀が彼女の身を膾のように切り刻んでいた。 どうやら翼が破れたらしい。墜落し路地裏に滑り込んだ鐶は、ゴミ袋やくすんで雨に汚れた 段ボールを吹き飛ばしながらも何とか人間形態へと姿を戻し、ゆっくりと立ち上がった。 「……合流…………しましたか……」 「ええ。絶縁破壊も何とか身動きできる程度までは治してもらったから」 「クソ! 何で俺が元・信奉者なんかを運ぶために遅刻しなきゃならねェんだ!」 上方から迫りくる矢と戦輪を無表情の短剣で弾いた鐶は、「あ」と声を漏らした。 「コイツがブレミュ最後の一人……って、なんか思ったよりちっこいな」 「とにかく、遅れてすみません先輩! 今度こそは力になります!」 「遅刻しちゃったけど、その分は何とか取り戻すから許して頂戴ね」 うっすら蒼いスターサファイアに似た虚ろな瞳が見上げた先では── エンゼル御前。 早坂桜花。 中村剛太。 一体と二人が建物の屋上から地上を見下ろしていた。 そして路地裏に至る角には、欝蒼とした目つきの根来と彼の影に隠れる千歳。 その横に遅れて着地したのは防人。 「貴様の望むとおり、これで六対一だ」 人混みに潜んで散々奇襲を繰り返したお前だ。文句はいわせない。 歩みを進める斗貴子の眼光は確かにそう告げていた。 「見て……ください」 しかし会話はかみ合わない。 鐶がぼんやりとバンダナを指すと、一体いかなる仕組か、白い生地に黒や黄色や赤の模様 がみるみると浮かび始め、やがてひどく漫画的なニワトリの顔がプリントされた。 . M (・ ・)← こんな感じの。 「スゴい! どこで売ってるのソレ!?」 沈黙する戦士の中で千歳だけがきらっと瞳を輝かせた。 「さっき……首を回転させたフクロウにも……なります」 いうが早いか、バンダナはまたもこんなんになった。→(`・ ・´) 「わぁ、スゴい!」 (アイツが訳の分からないコトを話してる間に仕掛けますか?) (待て。様子を見よう。斃すのではなく生け捕りにしなくてはならないからな) (って話してるようだぜブラ坊たち (総角クンの所在を聞き出すためね) (了解) ヒソヒソと話し出した防人たちに鐶は首を九十度ばかり傾げた。するとバンダナのフクロウ 顔も心持ち不思議そうになったからいやはや何とも不思議な装飾品である。 「あの……。変身した…………鳥さんの顔を浮かべることが……できるのですが」 首を戻し、戦士に手を差し出す鐶はどうやら話を聞いてほしいらしい。そこまで見抜いた斗貴 子だが、しかしホムンクルスには苛烈なのが彼女でもある。 「黙れ化物。仕掛けるならさっさと仕掛けてこい」 「……化物」 相変わらず無表情の鐶だが、バンダナのフクロウは目を丸くしてじんわり泣いた。 「無表情だけど実は傷ついてるんだよね。分かるよ。何か分かるよ!」 「貴殿は少し黙っていろ」 「う」 「あら?」 どうやって登ったのか。二階建ての建物の屋上から地上の戦士へと一瞥をくれた桜花は、 とんでもない異変に気づいた。 そこにいるのは中学生程度まで幼くなった斗貴子と、あまり小さくはなっていないが良く見る とややあどけなく少し縮んでもいる根来、そして明らかに子供になっている千歳である。 (なんで?) めくるめく笑気は口を押さえるだけでは抑えようもなく。美しい顔はみるみると紅潮しクスクス という笑いとともに震えた。 「笑うな! コレは奴の武装錬金のせいでこうなったんだ!」 「気をつけろ。斬りつけられると年齢が吸収される。ちなみに相手は人や鳥ならば自由に姿を 変えられる。例えば河合沙織やハヤブサなどに」 「わ、分かりましたブラボーさん(クス)。津村さんみたいにならないよう(クス)、気をつけます」 「だから笑うか喋るかどっちかにしろ!」 目を三角にして肩をいからす斗貴子を剛太はだらしない顔で見ていた。 (こんな先輩もいいかも) 幼いのに凛然としているギャップがたまらない。セーラー服がややだぶついているのも好印象。 (いいなあ。ちっちゃい先輩もいいなあ) ほんわかと斗貴子を眺める剛太に檄が飛び、 「キミもしっかりしろ!! というか敵に集中しろ!」 「あ……忘れ物…………」 その集中すべき敵は、何かを思い出したように手を口へ突っ込んだ。 もちろんその隙を見逃す斗貴子ではない。一足飛びに斬りかかり…… やにわに鐶の背後で見慣れぬ緑の扇が勃興するのを認めるや、狭い路地を三角飛びに駆 け上がり、桜花たちと合流した。 「クジャクの羽?」 肩を並べた御前が不思議そうに呟き、つられて下を覗き込んだ剛太が血相を変えて桜花と 斗貴子へ飛びかかった。 「きゃ」 剛太の脇にしっかと抱きとめられた桜花はほのかに顔を赤くしたが…… それはさておき、クジャク。ギリシア神話では嫉妬深いコトで有名なゼウスの妻・ヘラの持ち 物である。 ある時彼女はゼウスの浮気相手たるイオを監禁した。 しかし見張りを命じた百目の巨人・アルゴスはヘルメスの持つ笛に眠らされ寝首をかかれた ので、死を惜しみ、その百ある目をクジャクに移し替えたという。 (文献によっては眠らされたアルゴスへの罰としてむしり取ったとも) ちなみに雄のクジャクの持つ立派な扇形の羽根は、一見すると尾羽に見えるが実は違う。 正しくはその一つ上にある「上尾筒(じょうびとう)」なのだ。 さて今、建物同士の狭隘いっぱいに広がったそれから、羽根が嵐のように飛び散った。 剛太が桜花と斗貴子へ飛びかかったのもむべなるかな。鐶から見て前方のみならず上方に さえ羽根は飛散し、先ほどまでの斗貴子の立ち位置を撫で斬られたケーキのように削った。そ の威力をいち早く見抜いた剛太は彼女たちを両脇に抱えるように跳躍したのだ。 かくて直撃を免れた三人だが、しかしその背後で飛ぶ羽根からは、黄色と緑と赤に彩られた 目玉がベアリング弾のように爆裂してめたらやったらに建物を破壊していく。 掠ったのは一つや二つでもない。取り残された御前の「何じゃこりゃあー」という叫びを背後 に聞きつつ剛太は踵の戦輪を唸らせ一気に地上へと飛び立った。 途中視界に入った防人が影さえ見せず嵐のような弾丸をことごとく撃墜していたのに舌を巻く 一方、彼の背後で千歳が頭を抱えてしゃがみこんでいるのは呆れる思いだ。その姿にまたも 笑いを噛み殺した桜花には辟易だ。 もちろん、バルキリースカートで着地の衝撃を殺した斗貴子には惚れぼれする。 そんな剛太に桜花がややムっとしたのには気付かない。剛太だから気付かない。 ともかく着地した剛太が「いい判断でしょ今の」と斗貴子に笑いかけようとした瞬間、ドリルの ように鮮やかにきりもむ飛び蹴りが彼の頭を直撃した。 「やいやいやい! よくもオレ様だけ見捨てやがったなコンチクショー!!」 被弾したらしい。ボロボロの御前が息せききって文句を垂れている。もっとも、蹴りの意味に はもっと別のニュアンスがあるかも知れないが。 一方剛太は情けない声を立て、まるで千歳を真似たようにしばらく頭を抱えてしゃがみこみ…… 鈍痛から立ち直るやいなや立ち上がり、御前と顔を突き合わせて言い争いを始めた。 「るせェ! 武装錬金なら多少ダメージを受けても平気だろうが!」 「平気じゃねーっての! ヤバくなったら自動解除されちまうっての!」 喧々囂々。桜花は満面の笑みでそんな喧嘩を見た。 「ったく。ゴゼンも人格の一部だというのにいけしゃあしゃあと。というかケンカをやめろ!」 一喝によって二人の喧嘩は強制終了した。 剛太はモーターギアを、御前は桜花の手元で矢をそれぞれ羽根に向って撃ち始めた。 並び順でいうと、防人の右に剛太、桜花、斗貴子、後ろに千歳。 左の根来は「忍法天扇弓(てんせんきゅう)。──」と扇を放って羽根を撃墜中。 斗貴子としてはそんな彼らを援護に飛び込んで斬りつけたいところだが、しかし先ほどのクジャ クの羽根のような予想外の行動もある。うかと単独行動すればキドニーダガーの年齢吸収の 餌食になる可能性もある。 踏みとどまったのはそういう理由もあるし、桜花の状態を知りたくもあったからだ。 「ダメージといえばケガの方はどこまで回復した」 「ようやく動けるぐらいまで。……走ったり飛んだりするのはまだ無理そうね」 斗貴子の問いに、桜花の瞳は憂いに満ちている。 弓を構える腕は微妙だが打ち振るえ、姿勢の継続さえ容易ではなさそうだ。 「隠しても仕方ないから白状するけど、剛太クンに手を引いて貰ってやっとココに来れた位」 硝子が弾け壁が割れ、千歳の悲鳴が一段と甲高くなる戦場で桜花は悲しげに目を細めた。 矢が羽根に当たり、共に消滅。しかし相手の攻撃が途絶える気配はない。 「そういえば。例の小札とかいうホムンクルスに神経を破壊されたというが……まだ」 「ええ。半日も経ってないもの。せいぜい5~6時間といったところね」 その小札から回復を浴び病院に搬送され治療を受けた桜花だが、斗貴子の見るところ血色 は悪く、立っているのも辛そうだ。 「だったら何でわざわざ」 「秋水クンがたった一人で三人の敵を倒して核鉄を奪還してくれた以上」 流れてきた羽根を処刑鎌で弾こうとした瞬間、疼痛に体が引きつり反応が遅れた。 「私が寝ていられるワケないじゃない」 しかしそれは、御前が勢いよく射出する矢に見事撃墜された。 「それに半病人はお互いさまじゃなくて?」 桜花はくすりと魅惑的な笑みを浮かべた。 「鳩尾無銘から受けた傷、まだ完治してないでしょ」 言葉に詰まる斗貴子の横で、防人が被弾し剛太が果てなき攻防に憔悴を浮かべた。 「だいたい、怪我をいうなら剛太クンだってブラボーさんだって一緒だし」 物腰こそ柔らかいが、言外には有無をいわさぬピシャリとした気品のある桜花だ。 「そう。マトモに戦えそうなのは再殺部隊の出歯亀ニンジャだけだっての。だって聞いた話じゃ アイツ、今日が退院予定日だしな。で」 もう一人の無傷たる千歳はすっかり年齢が退行し、防人の後ろで空気の読めぬ応援歌を歌っ たり流れ弾にビビり倒している。斗貴子は見た。桜花がそんな千歳に「ウケて」いるのを。 「数の上じゃこっちが有利だけど、状態を考えたらそれでようやく互角かもね」 それが証拠に誰一人として鐶の羽根の乱射に踏み込めずにいる。 (シルバースキンを持つ戦士長ならこのまま歩いて突入していっても良さそうな物を……) しかしその場に留まっているのは、接近したところで決め手に欠けているのを自覚している せいか。もしケガさえなければたちどころに突入し、一撃の元に倒せるかも知れないが。 「……あ、そうそう。私の療養のために借りていた核鉄、返しておくわ」 桜花が差し出したのは。 シリアルナンバーXIII(13)とLXXXIII(83)の核鉄である。 秋水が無銘と貴信から奪い、根来が持ちかえった物である。にも関わらず先ほどの奇襲の 際、防人がこれらを使っていなかった理由が斗貴子にようやく分かった。 きっと桜花は桜花なりに傷を治そうとし、防人もそれを承諾したのだろう。 秋水が奪還した桜花のXXII(22)のみならず無銘や貴信の物を使い、戦線復帰するために。 「まったく。核鉄三つで治療とは無茶をする。いいか。確かに核鉄には治癒効果があるが、そ れは生命力を強制変換しているだけなんだぞ。使いすぎれば却って死に近づく」 手指を拳銃のようにすぼめて斗貴子は思わず詰め寄った。 「以前、キミが瀕死の重傷を負った時にも三つの核鉄で止血をしたが、それは死の危険が迫 っていたのと、カズキにせがまれたから止むを得ず許可しただけだ。今とはワケが違う」 いかに絶縁破壊によって神経のカバーたる髄鞘(ずいしょう)を破壊され身動きできなくなっ たとはいえ、あくまで入院すれば治る見込みのケガなのだ。生命を削ってまで前線に出てくる 必要はない。斗貴子はそれをいいたいらしい。 「あら。気にしてるのはそういうコトなの? 私はてっきり、『核鉄三つも使ったのだからそれに 見合う戦果を上げろ』とでもいわれるかと思ってたけど」 「上げたければ勝手に上げろ。だが戦えなくなったらすぐに離脱しろ。いいな。カズキに感謝し ているなら無駄に命を捨てるような真似はするな」 皮肉交じりの意見に斗貴子はそっぽを向いた。 「ええ。分かってるわ。それにしても」 「なんだ」 「ずいぶんトゲが抜けたみたいだけど、何かいいコトでもあったの?」 「……確かに最近の私は褒められたものではなかった。すまない」 「あらあら」 桜花から斗貴子へと移った核鉄が。 「戦士長! それから戦士・根来」 核鉄が宙を舞う。シリアルナンバーXIII(13)が防人へ、LXXXIII(83)が根来へ。 頷いた彼らの手へとそれぞれ見事に収まった。 「アレ?」 剛太は首を傾げた。 「キャプテンブラボー、LII(52)の核鉄持ってないんスか?」 「それがだな、火渡から、大戦士長の捜索のために戦士・犬飼にしばらく預けろという要請が あって」 「戦団に返却したそうだ」 吐き捨てるように言葉を継ぐ斗貴子は苦渋満面だ。 「って。こっちが核鉄ない時に相変わらず不条理な。ていうかまだ見つからないんですか大戦士長」 「ああ。だからキラーレイビーズを更に増やして捜索にあたるらしい」 いったい何者が照星をさらったのか。気になるところではあるが、戦闘中に熟考する余地は ない。この会話とて片手間なのだ。 「そっちは分かりましたけど、どうして出歯亀ニンジャに核鉄渡したんですか?」 「戦力やケガの状態からいえば私たちより彼がダブル武装錬金を使う方が確実だからだ。流 石に戦闘中に回復をする余裕はないだろうしな」 「なるほど」 納得がいった。そんな様子の剛太に斗貴子は眉を潜めた。 「ええとだ。一応聞いておくが、ケガは大丈夫なのか?」 「まぁそこそこには」 「そこそこって、……やっぱり桜花のいう通り、完治はしていないのか?」 「まあまあ。俺のコトなんか気にしなくてもいいですよ」 彼は親指を立てて嬉しそうに笑った。 「全ては先輩のためですから」 声と同時に投げた戦輪は羽根を何十枚となく両断し、美しい軌道で剛太に還った。 「先輩に笑顔が戻るなら、多少のケガなんて我慢しますよ俺は」 彼はグっと力瘤をつくるような仕草をすると、柄にもなく真剣な表情をした。もっともそれはすぐにいつもの軽薄な表情になり、わいわいまくし立て始めたが。 「相手が何を仕掛けてこようとしっかり守りますから、先輩は大船に乗った気持で安心して戦っ てください! それと、ちょっと元気になったようで何よりです」 はぁ、と斗貴子は肩を落とした。この後輩はどうしてこうも気楽なのか。 「ならいい! 戦うというのならちゃんと戦士長か私に従ってもらうからな!」 「了解ッ!」 ノリ良く直立不動で敬礼する剛太をよそに、根来は薄く呟いた。 「もうそろそろか……」 そんな短いやり取りの間、羽根の発信源たる鐶側では。 「……ずぶずぶ」 拳、手首、一の腕、肘……と鐶の手が口にみるみると呑まれていく。細い頸が異様に波打ち 巨大な質量を嚥下している所をみると、彼女はどうやら消化器系へと手を入れているらしい。 「ずぶ、ごふっ……ごふ。げほ…………」 ちょっと苦しかったらしい。鼻が咳きこみ虚ろな瞳から数滴の涙がこぼれた。だがえずきな がらも鐶は『何か』を掴んで引きずり出した。 それはポシェットだった。唾液などの分泌液にテラテラと濡れ光っているのを除けば、ファン シーグッズショップの店頭にあっても違和感はないポシェット。 色は白く、大人の拳を縦二つ横二つ並べたような大きさ。 「……これは羽毛じゃないので……しまってました」 誰にいっているのか何を考えているか分からないが、鐶はびたびたのポシェットを大事そうに 肩にかけた。
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/394.html
第021話 「環境の変化(中編)」 「俺のシルバースキンは精神状態によって硬度が大きく左右される。戦闘時には例えミサイル が直撃しても爆ぜない……というのは既に何度も聞かせたな」 シルバースキンを解除し、脇腹の辺りを確認した防人はちょっと顔をしかめた。 つなぎが破られ、一文字の朱線から血のしずくがこぽこぽとこぼれている。 「ええ」 秋水はうなずくと、「それに倣ってみました」と言葉少なにつぶやいた。 表情は暗い。防人の傷を深刻そうに眺め、持っていた核鉄を差し出した。 シルバースキンが砕けた瞬間、あわや刃が肉に食い込む寸前で秋水は武装錬金を解除し たのだ。 「気にするな。そうやって咄嗟に止められただけでも偉い」 秋水を手で制して笑って見せる防人だが、もっとも内心はけして穏やかではない。 心中の彼は髪や瞳や不精ひげや肌の色素すべて真っ白にして、ぜぇぜぇ息ついている。 (危なかった! 確か戦士・秋水の逆胴は真剣ならば二本差しごと胴体真っ二つにできる威 力──! 生身で食らってたら俺は死んでいた……!) ンな物を生身で受けかけてはさすがの防人も死の危機感に冷汗三斗だ。 「と、とにかく、ブラボーだ。闘争心の昂りに応じて刀の硬度を高めようとする着想、大成功だ!」 秋水の肩をぽんぽん叩きながら、惜しみない心からの賛辞を防人は送る。 本当は頭をわしゃわしゃ撫でてやりたいほど嬉しいが、どうも相手が秋水のような美丈夫だと 悪いような気がするので、親しみを声に精一杯込めるのである。 「しかしさっきの攻撃、君にしては大胆だったが、必ず敗れるという確証はあったのか?」 「いいえ」 秋水はかぶりをふった。ふるだけでも声はいかにも格好良い。 「通じなければ撃たれるだけです。そして俺はすでに何度も撃たれています」 「フム。確かにそうだが…… にしても少し無謀すぎないか」 「無謀なぐらいが俺にはいいんです」 「……少なくても”彼”なら、傷だらけになるコトを厭わない、か?」 「ええ」 顔の曇った部下に、防人も少しつられる思いだ。 (そうだな。お前が戦士になった理由も闘っている理由も、”彼”の存在が大きいからな──…) この元・信奉者の人生に重大な影響を及ぼした男はいまだ月に居て、はたして帰ってくるか どうかも分からない。 直面している欠如は、余人にはとうてい解決できそうにない巨大な物だ。 防人は早々に、斗貴子を始めとする関係者を見守るほかないと決めてはいるが、できるのは 結局それだけで、それだけだと決めてしまえられる理性の成熟が恨めしい。 若い頃ならば自分の努力によって総てを救えると信じていた。 だが過酷な現実の前に砕かれ、それ以降でも任務の中で忸怩たる思いをしたコトなどいくら でもある。部下だった剣持とて采配の至らなさゆえにムーンフェイスに斃されてもいる。 だからこそ、秋水のような若い戦士には親身になりたい防人である。 「戦士・秋水」 「はい」 名前を呼んだ青年は、いかにも生真面目な面持ちである。 L・X・Eという、序列の順守を怠ればすぐに命を失う組織で過ごしていたせいか、目上の人間 との会話には必要以上に力が入るのだろう。 「あー、なんだ」 声を所在無げにぶらしながら、意識的におどけさせる。 「さっきみたいなコトはだな、なるべく峰打ちでやってくれないか? もし途中で止まらないと 俺は死んでしまう。いくら鍛え抜いていても刃物だけはさすがに厳しい」 冗談めかして笑ってみる。たいていの相手は、これでフっと緊張状態を解いてくれる。 例えば斗貴子なら高確率で白けたり呆れたりする。が、そんな人間的な感情の緩みが生じて くれれば、少しは会話もしやすくなる。 防人が部下とのコミュニケーションから地道に学んだ一種の呼吸だ。(生来の天分も大きいが) 「尽力はします。けれど」 「けれど?」 顔は相変わらず硬いが、返答してくれるだけでもありがたい。 「ソードサムライXは両刃です」 「ん。そうか。じゃあだな、もう片方を斬れないようにするコトは可能か? 俗にいう『逆刃刀』と いう奴だ。確か幕末か明治に『不殺』を掲げた剣豪が使っていたらしいが」 「さすがにそこまでは。大体、峰と刃を逆にしても殺傷能力にあまり変わりはありません」 日本刀は鉄でできているから、切れ味がなくてもちょっとした鈍器ぐらいの威力がある。 だから頭や腹など撃てば、脳や内臓に致命的なダメージがいくのではないか、というのが秋 水の弁である。 「無理、か。まぁ、仕方ない。武装錬金にもできるコトとできないコトがある」 目をすうっと細くして、防人は次にああいう斬撃がきたときどう避けるか考えるコトにした。 そういうのも教導の醍醐味だし、防人自身の成長にも繋がる。 「しかしなぁ、英語版のタイトルが名前なのだからできても不思議は……」 皺の寄った顎にピストル状の手を当て細目で上を見ながら、防人はぼそりと呟いた。 「?」 「ん? 俺は何かいったか? あぁ、そうだ。君に二つほどいいコトを教えてあげよう」 いうが早いか防人はシルバースキンを再度発動した。 ただし今度は身にまとうのではなく、自分の横に立たせる形であり、色も黒い。 「まずはシルバースキンリバース。ムーンフェイスを倒した手段だ。参考までに見ておきなさい」 漆黒の防護服の各部で何やら雲霞のように渦巻いたと見るや、それらはびゅーっと帯状に 伸びて部屋の中央へと飛んで行った。 もし秋水に編み物の素養があれば、毛糸を引き抜かれるセーターを想起しただろう。 帯の長さに反比例して、防護服はみるみると形が崩れていく。 要するに構成素材たるヘキサゴンパネルを解体して、帯の形にしているらしい。 秋水が内心下を捲いたのは、帯どもが実に滑らかに宙を走っているところだ。 てっきり防御一辺倒の武装錬金だとばかり思っていたから、こういう奇妙な芸当を見せられ ると、目が引きつけられてしまう。 やがて帯によって、幅、奥行き、高さ、いずれの観点からも「部屋の中心」たる所へ大きな円 が描かれた。 次はその上下に一定間隔をおいて少し小さな円。 さらにその側面を接合するように帯が弧を描いて、縦方向にもいくつかの円を描いた。 これはむかし公園によくあった円状のジャングルジムに近い。 「さて、この中に何か入れてみると効果が分かるんだが」 「ハイ! ちょうど空のペットボトルがあったよブラボー!」 「ム! いいぞ、ブラボーなタイミングだ」 快活な声と一緒に飛んできたペットボトルをキャッチしたブラボー、それをジャングルジムの 中に放り込んだ。 秋水はその光景を真剣に見ていたが、しかし何かが引っかかる。 「これの名前は、ストレイトネットという」 考えかけたが防人の説明を聞く方が大事なので、ペットボトルに目を向ける。 実に奇異である。 防人が遠巻きに手をかざすと、ヘキサゴンパネルで構成された球体がペットボトルに向かっ て狭まっていき、やがては人の拳よりも小さくなった。 当然、防人が武装錬金を解除した後に落ちたのは、超(蝶としたいがなんか文脈に合わな いので超とする)圧縮されたペットボトル。 世に疎い秋水でも「深海に持っていかれたカップヌードルの容器」ぐらいは教科書経由で知っ ている。いま見ているのはまさにそれだ。 青い半透明のプラスチックは溶けて再び固まったように不規則な皺を浮かべて、カチンコチン に固まっている。フタの部分などはとっくに割り砕けているから凄まじい。 「とまぁ、こんな要領で分身したムーンフェイスたちを一ヶ所に集めてだな、後はこう」 粉砕・ブラボクラッシュ! と子供のような手つきで正拳を繰り出した。 「一気に斃したという訳だ。奴は分身が一体でも残れば復活するからな」 「なるほど。道理で」 納得した秋水に向って、防人は「さて」とおどけた様子で問いかけた。 「ちなみにこの技、実はちょっとしたモチーフがある。君にはそれを答えて欲しい。制限時間は ジャスト三十秒!」 快活な防人に反して、秋水の顔は驚きに曇った。 答えづらい問いかけである。 予想していない事柄について問われても、即座に展開できるだけの柔軟性を持っていないし また、世界に対する知識も乏しい。 剣ならばいい。繰り返し繰り返し修練しているから、ある程度までは反応できる。 しかし会話はまったく違う。出自ゆえにどうも桜花以外の人間との対等な会話というのは不 慣れなむきがある。 なのに生真面目な性分ゆえに、百パーセント正しい回答を出さねばならないという義務感に 駆られて何もできなくなっている。 「さ、どうした早く答えるんだ戦士・秋水。決断力も戦士には重要な要素だぞ」 防人は秋水の機微がよく分かるらしく、ニヤっと笑いながら回答を促した。 「……」 物事をよく知ってさえいれば、今見た現象と似た物を選んで口に上らせるコトができるのだ が、どうしても見つからない。 「そんな深刻に考えなくても大丈夫だよ秋水先輩。ちょっとしたクイズって思えば」 「そうは言うが、咄嗟には……」 美貌は暗く、煮え切らない。防人がやれやれとため息をついたのもむべなるかな。 「甘いぞ戦士・秋水! 戦いは常に予想外の事が起こるものだ! それに咄嗟に反応できる かどうか、戦士の真価はそこにこそある!! 何もせず、ただ状況に流されているだけでは 敵のペースにはまるだけだ! 完璧でなくてもいい、とにかくまずは動くコトが重要だぞ!」 発破に秋水の顔がゆらめいた。いい兆候かも知れないと防人は思い、さらにもうひと押し。 「現に先ほど、ソードサムライXを咄嗟に解除できただろう。あの要領を思い出せ! こういう のは才能じゃないんだぞ。反射的な行動の繰り返しで十分培える」 「そうだよ。こういう時は肩の力を抜いてリラックスだよ。そしたらいい考えが浮かぶかも! (……そうだな) 交互に向かってくる声の中で悩みながら、目を閉じ、考える。 (正答が出せずともいい。まずは俺に分かる範囲で答えていけばいい) すると先ほどまでの焦りが少しずつ余裕へと融和していくから不思議なものだ。 きっとそういう心境になれるのは、外からの声のおかげなのだろう。 外からの声。遠い昔、桜花と二人してアパートの一室に閉じ込められた時は、いくら扉を叩 いても返ってこなかったものだ。 (それに今こうして何かを与えられているから、不思議な話だ。そして) 思考の手がかりは、先ほどの技名だ。 (ストレイトネット……網。網状の物といえば──…」 「蜘蛛の巣、でしょうか。計上こそ少し異なっていますが、敵を拘束するにはこれしかないと 俺は思いました」 防人は惜しそうな顔でボサボサの黒髪をかきむしった。 「惜しい! 網状という部分は合っている。正解は地引き網だ。むかし、とある任務で住民たち と一緒に魚を獲る機会があってな、その時にこの技を思いついた」 なるほど、と正解を与えられた秋水の顔に光が射したが、すぐ不思議そうな風体になった。 どうも防人のいいたいコトが分からない。 という気配がすぐ伝わったらしく、防人はこう続けた。 「要するに、だ秋水。武装錬金にはこういう応用の仕方があるというコトだ。そう難しく考える 必要はない。さっき闘争心を高ぶらせて武装錬金の硬度を上げたように、ちょっとした着想 で君の武装錬金も闘い方を変えるコトができる……それを伝えたかった」 ニっと唇の端を吊り上げるガキ大将みたいないつもの笑みで、防人は親指を立てた。 (確かに、これからはそういう戦い方も必要になってくる) 斗貴子や剛太が破れて、しばらく戦闘不能である以上、秋水が戦う機会が増加するのは目 に見えている。 ちなみに現時点では、LXEの逆向・佐藤といった顔なじみや、総角率いる六体のホムンクル スと敵対する可能性が非常に高い。 やや不安ではあるが、アドバイスがあるというのは心強い。 だから防人という戦士長が、ひどくありがたい存在のように思えてきた。 秋水には剣技での師匠がいるが、武装錬金にとっての師匠は防人になるかも知れない。 「そして以前俺は、君のいう”彼”に一つの試験を施した。身体能力のみでシルバースキンを 破れば戦士合格……そういう条件で、だ」 遠くから瞳を覗き込んでくる防人に、秋水は「え?」という表情をした。 「悟ったようだな。そう、君の身体能力はすでに”彼”を超えている。あの時は試験用だった が、今回は戦闘用。硬度はまったく違う。これが二つ目」 実際問題、当時の”彼”と秋水では、まだ秋水の方が諸々の要素からして上だった。 それがとある奇策で敗れただけであって、武技だけで競えば秋水の勝ちは揺らがなかったと いえるだろう。 そこから修行に行って防人や剣道部の面々とも鍛錬を繰り返している以上、成果がでない ワケはない。 「……本当ですか?」 「ああ。こういうコトは命に関わるからな。俺は嘘はいわない。君は着実に強くなってきている。 だから自信を持っていいぞ」 まだ少し信じられないという様子の秋水の肩をぽんぽん叩く防人の後ろで、 「うーん。よく分からないけど、良かったね秋水先輩」 まひろも嬉しそうに笑った。 刹那、防人と秋水は凍りつく思いで彼女を見た。 いつの間にいるのか。そういえば先程からの元気良い声は彼女だったのか。 で、二人して軽い硬直状態で首とか関節をぎぎぃっと鳴らしつつ顔を見合わせた。 (なぁ、戦士・秋水。一つ聞きたいんだが、彼女はどうやってきたんだ。そりゃ、彼女もカズキ や斗貴子が戦士というコトは知っているが、こういう場所に来られると少々マズいぞ) (むしろ俺が聞きたいぐらいです。特訓中は入口を封鎖しておくんじゃなかったんですか?) (ああ、したともさ。しなければ戦士・千歳にひどく怒られるからな。実際、俺は生徒から没収 したブラボーな本だって、見つからないよう厳重に隠している! 特集別にきちんと整理整 頓した上でな。そして俺は鍛え抜いたこの眼力で絶対に見つからないであろう場所を見繕 い、隠している! よって絶対に見つかるコトはないといえるだろう!) ちなみに後年、パピヨンパークという場所での任務時に千歳から「知ってるわ」と冷たくいわ れるのだが、それはまた、別のお話。 防人と秋水がヒソヒソ話す間にもまひろは周囲を見回して 「あ、でもここなんなんだろう? もしかして秘密基地? 特訓場! それともそれともなにか こう、私たちのいる世界とはかくぜつされたじげんだんそーのすきま、いわゆるへいさくうか んとか!? うーん、自分でいっててよくわからないけど、そうだったらいいな」 と目を輝かせながら勝手な感想をすっちゃかめっちゃかな口調で漏らしている。 (いや、戦士長。話が逸れていませんか?) (おっと俺としたコトが。すまんすまん。とにかくだな、今日だって扉を閉めてから厳重に厳重に チェックした。だがしかし、彼女はココにいる! 謎だな! よーし!) むしろこの不測の自体に、防人は燃えているらしい。拳と拳をがっしり衝突させて (戦士・秋水。ちょっとお前が聞いてみろ! こいつは戦士長命令だ。逆らうコトはできないぞ!) とか言い出した。 なんで自分が、という感想も少しはあったが、上司の命令は絶対なのでまひろにくるりと向き 直って所在なげに接近。いったい何をしているのか。まるで女子高生探偵と胡散臭い助手に 事務所を奪われた上に薄給で働かされるハメになったチンピラのようにしょぼくれていると、 (まぁ、アニメではなぜか声が変わったのだが)好奇心いっぱいの人懐っこい瞳が向いてきた。 不思議といろいろな疲れが抜ける感じがするが、それも困惑。 「えーと。どうして君はここに来たんだ?」 まったく平坦でひねりもないセリフだ。 「先輩レーダー!!」 まったく突飛で理解したがいセリフだ。 「用事があったから秋水先輩を探してたんだよ! でもなかなか見つからなかったから、どこ かなー、どこかなー、って寄宿舎をうろうろしてたら、ちょうどココの上のね、管理人室の辺りで みゅう、みゅうみゅうみゅう、みゅーっ! てレーダーに反応したの! むむっ、コレはもしか して斗貴子さんレーダーの秋水先輩版!? とゆーコトで畳とか叩いてたら、ココに来たん だよ」 (……話の筋道が立っているのか立っていないのか分からないな) (戦士・斗貴子や戦士・秋水を素で感知できるとは……戦士・千歳も驚きだな) 「ちなみにね、特訓の手伝いなら私もするよ! これでも昔はアメフト部でマネージャーをね」 「ほう。君がそういうのをやっていたとは初耳だな。確かにそういう声だが」 「ううん。違うよブラボー、やれたらいいなぁーって、思ってたの。でも意気込みだけなら十分ッ!」 秋水にはだんだん、はしと拳を固めて力説するまひろが暴走機関車に見えてきた。 止められる者はいるのだろうか。 「あー、力説のところ悪いが武藤まひろ。ここは立ち入り禁止なんだ」 (いた!) 秋水が驚く中、まひろは青くなって謝り倒したがそこは割愛。 「で、用事というのは?」 「あ、用事というのはね……」 先に断わっておく。 その用事というのは、秋水が今後しばらくまひろやヴィクトリア、千里に沙織といった女性陣 に振り回される「用事」だった。
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/579.html
永遠のフィレーナ(Part1/2) ページ容量上限の都合で2分割されています。 15-298~312・337~344・404~412・457~465、 16-49~53 298名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/05/22(日)20 08 44 ID crreefIS SFC永遠のフィレーナ、投下します。 原作は昔アニメージュで連載された小説らしいけど未読です。 OVAにもなってるそうな。(´・ω・`)知らんがな 299名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/05/22(日)20 09 45 ID crreefIS ○用語説明 デビス帝国…強大な陸軍力で国々を潰して大陸を支配した。 フィロセラ…デビスに抵抗し、最後に滅ぼされた国。 ラリテニア…デビスに潰された国。 帝国人民…デビス民族。支配する側。 属国民…帝国に寝返った国の民。店とかやらされてる事が多い。 クレチア…帝国に潰された国の人々。奴隷同然で人権も剥奪されてる。住む場所も分けられてる。 バトルショー…帝国人民を楽しませるためのクレチア同士で殺しあうショー。引き分けは無い。 バトラー…バトルショーで闘うクレチア。男しかいない。 バトル作家…客を楽しませるため、バトルショーのシナリオを演出する人。 ○人説明 フィレーナ…名前は全然隠れてないが、男として育てられたクレチア。 父親似の顔と、バトラーは男だという先入観もあってか外見で女とバレる事はまず無い。 ゼナ…………16年前にドラに赤子のフィレーナと共に現れた老剣士。 フィレーナを男と偽らせ、戦い方を教えた人物。 リラ…………闘い前のバトラーに与えられる女クレチア。名義上フィレーナの妻になり精神的に支える。 ネスト………バトル作家。フィレーナの闘いを見て、自分の生き方に疑問を抱く。 ミリカ………フィレーナがヌッ殺した男の奥さん。幼い息子がいる。 黒い悪魔……帝国の機密情報機関所属。バラバという役職名で何かいっぱいいる。 決めセリフは「名もなく消えてもらおう」 300永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 12 25 ID crreefIS デビス帝国が大陸を支配してから6年が経った。 ドラの街・バトラー養成所 バトラー訓練士のゼナから特訓を受ける6歳のフィレーナ。 「じいちゃんと戦いたくないよ…」という少女に、本気でかかって来いというゼナ。 「女のお前に男のバトラーとして生きろというのは惨い話だ」 強くなることだけを考えろ、そう言うとゼナはフィレーナを鍛えるのだった。 10年後 日々、特訓を続ける16歳のバトラー訓練生、フィレーナ。 小さな身体を生かして攻撃しろ、と言われながらゼナとの訓練終了。 明日はフィレーナのデビュー戦。死ぬまで闘い続ける生活が始まる。 「ゼナじいさん…」と呼びかけるフィレーナに、ゼナは新しいナイフとシューズを渡した。 「フィレーナよ…、お前にはワシの全てを与えたつもりだ…。何故だと思う? …お前には大切な使命があるからだ。今に、全てを知るときがくる」 明日の試合に備えて自室で休んでいると統率官に呼び出される。 部屋には自分の他に、4人のバトラーが呼び出されていた。 統率官曰く「お前等、バトって死ぬだろうから今宵は楽しめ(要約)」 言い終わると同時に、部屋に5人の女たちが入ってきた。 4人のバトラーは、それぞれ好みの女を連れて行き、フィレーナと最後の娘が残される。 困るフィレーナ。娘を置いて部屋を去ってしまった。 「あっ!」 置いていかれた娘は、統率官の「ムチで打たれるぞ(要約)」 という言葉で我に返り、飛び上がって部屋を出て行った。 フィレーナを追って、娘が部屋を尋ねてくる。 「私の名は、リラ。私を抱いてください…」 沈黙のフィレーナ。 「私…、抱かれに来たんです…」 自分の役目が果たせなければ叱責を受けるのだと言う。 301永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 13 57 ID crreefIS 「悪いけどボクには…」 断り続けるフィレーナに、リラは自分にはそんなに魅力がないのかと問う。 「いや…、その…、明日のバトルショーのことで頭がいっぱいなんだ…だから…」 まさか女なので無理ッスとも言えないフィレーナにリラは苛立ちを隠せない。 「もう!あなた男でしょ?こんな美人に言い寄られてそれでも断るつもり?」 「…美人?」 「美人じゃないっての?あったまきた。私だって選べるなら こんな小さいバトラーなんか選ばないわよ」 「そうつっかかるなよ!美人じゃないとは言ってない、君は十分可愛いよ…」 可愛いと言われ一瞬止まったものの、やっぱり美人じゃないって事だと壁に追い詰める。 フィレーナは部屋から帰す事を諦めると、明りを消してリラを伴いベッドに入った。 沈黙。 「キャッ!」というリラの声と共に明りがついた。 どうもフィレーナの胸に触ったらしく、あっさりと女と言う事がバレる。 クレチアに女のバトラーはいない。 「統率官が気づいたら、あなた殺されちゃうわ!」 「ボッ…ボクは…男だ…!」 自分は生まれた時から男として育てられてきた。 何故偽らなければならないのかは自分にも分からないが、秘密して欲しいと頼むフィレーナ。 「…、あなたもリラと同じ、悲しいクレチアなのね…」 女とバレたら殺される。バトラーとして生きても死ぬまで戦い続ける。 リラはフィレーナを思って言った、希望も何もないと。 男に抱かれるために育てられたリラと、男として育てられたフィレーナ。 悲しいクレチア二人。 フィレーナは、今日この部屋でリラを抱いた事にし、リラは秘密を守る事にした。 そしてリラは雰囲気を明るくするように 「明日の試合は絶対に負けないでっ。約束よ?」と言いフィレーナの側で寝顔を見つめた。 302永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 15 33 ID crreefIS 翌日、迎えに来た統率官に起こされる。 逃亡防止の為、養成所から闘技場に入るまで統率官と兵士が同行する。 姿の見えないリラを気にするフィレーナに、統率官は試合で生き残ればわかると言った。 夕べ顔を会わせた4人のバトラーと合流し、帝国人民で賑わう試合会場に出る。 「闘いに命を捧げる勇気ある者たちに デビスの神の御加護を…」 神への祈りを捧げた祭司が去り、いよいよフィレーナの初試合となった。 ○第1回戦・ビッグエレファント(人というより人型の象) 倒す。勝利。しかし相応に傷ついたフィレーナも意識を失う。 気がつくと見知らぬ部屋のベッドの中。 身を起こし辺りを見回すと、心配したリラがかけよって来た。 フィレーナが眠っていた家は、試合に勝ったバトラーが与えられるもので 周囲にフィレーナの妻と思われたリラはここに連れてこられたのだ。 「あなたが生きているかぎり、リラは、あなたの奥さんよ… ちょっとヘンタイっぽいけど、まっ、気にしないで!」 リラはそういうと、この家でフィレーナの帰りを待つことにした。 次の試合までは街をうろついたり養成所でゼナじぃの特訓を受けたりしてみる。 帝国人民地区ではあからさまに「クレチア風情が!」と嫌がられる。 病院では、帝国の実験台にされたという老人が、自分を14歳だと言っている。 ちなみに主人公宅の南にある家には、対戦相手の一人フィラードの奥さんサラが住んでいる。 ○第2回戦・バラバス(通り名・カマキリ) 素早い小柄のバトラーなので「ノミのフィレーナ」というありがたくない二つ名がつけられる。 倒す。勝利。 フィレーナも今度は倒れることもなく歩いて退場。 闘技場入り口まで戻ってくると、バトル作家のネストという男に声をかけられる。 バトルショーの脚本家でフィレーナの試合を気に入ったという。 「たいてい街の酒場にいる、気が向いたら尋ねて見てくれ」といい去っていった。 自宅に戻るとリラが喜んで出迎えてくれた。 303永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 16 44 ID crreefIS ○第3回戦・ゴラス&フィラード ノミから奇跡のフィレーナへと通り名がレベルアップしたところで 何故か今回の試合は2対1。 「こんなハンディ戦で闘いたくなかった…」というフィラード。 だが、自分も家族の為に死ねないと言い試合開始。 ゴラスは「勝ちゃぁいいんだよ」な人。 倒す。勝利。 フィラード「君の強さは本物だ…。サラ、幸せに…」 (サラの家に行った場合) 「夫が死んだのは、あんたのせいじゃないわ…。これはバトラーの運命なのよ」 ちなみに、バトラーの夫が死ぬと与えられた家からは追い出される。 自宅に戻ると、リラがボンヤリしてるので話しかける。 リラからの質問「もし、フィレーナに兄弟がいたとしたら、会いたい?」 頷くと「生まれてすぐに家族と離ればなれにされたクレチアでも会ってみたいものよね…」 リラは、次のバトル相手が、フィレーナの実の兄だという話を聞いたという。 「…ううん、きっとただの噂だと思うけど」 酒場のネストに会いに行き、噂について尋ねてみると 確かに次の対戦相手はフィレーナの兄だという。 だが、少し考えると、フォレーナを連れて酒場を出て物陰に入った。 ネスト曰く「嘘っぱちだから気にするな(要約)」 つまり実の兄弟同士で悲劇の殺し合いが観客にウケる、と読んだ演出らしい。 それだけ告げるとネストは酒場に戻っていった。 304永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 17 49 ID crreefIS ○第4回戦・フィコス 奇跡→人気者のフィレーナになりつつ入場。 解説者の「自分の兄を倒せるか!」の言葉に続いて入場してきた対戦相手が話しかけてきた。 「久しぶりだな、フィレーナ…。俺がお前の兄、フィコスだ…。 オレたちは兄弟なのに、殺しあわなきゃならぬ運命とはな」 そういうとフィコスは壇上に登る。フィレーナは無言。 試合中、兄として惑わすような発言をするが倒す。勝利。 フィレーナが倒れたフィコスの側に立つと、彼は言った。 自分はバトル演出用の道化のバトラーだと。 「妻と…子供の命を守るため…、お前の兄と…偽って…」 フィコスは息を引き取った。彼も悲しいクレチアだった。 兄殺しのナレーションと共に、退場しようとすると女と子供が乱入してくる。 女はフィコスの妻ミリカ。フィレーナに向かって叫ぶ。 「必ず仇をとってやる!フィス、この男の顔をしっかりと覚えとくんだよ… 父さんを殺した、この男を!」 去り際一度振り返った子供をつれ、ミリカは去っていった。 一人俯くフィレーナ。 「ミリカさん…、こうするしかなかったんです。これが…バトラーの、宿命だから…」 その頃、闘技場入り口。 統率官とフィレーナの今の試合について話す兵士達。 「平気で兄を殺せるとは、全く見上げたクソ度胸だ…。 しかし妻と子の前で夫を殺させるとは、バトル作家も面白いシナリオを書くものだな…」 自宅に戻るとリラが走って出迎える。 「ごめんなさい…あなたが負けた時のことを考えてたらなんか…悲しくなっちゃって… フィレーナ、そんな寂しそうな目をしないで。あなたは負けるワケないわ。そう信じてる…」 305永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 19 18 ID crreefIS 酒場でネストに話しかけると、フィコスの事は気にするなと言われる。 「それより、次の試合が問題だ。バトル作家でも対戦相手を変える力まではない…」 今回だけは内容を明かせないという。酒のペースが早い。 養成所へ行くとゼナの姿はなく、部屋には別の教官がいた。 もう教官はゼナではないという。 ○第5回戦・ゼナ 人気者→兄殺しのフィレーナが入場。対戦相手は師、ゼナ。 いつも通りに祭司が祈りを唱え、去る。 無言で歩き出すゼナ。 フィレーナは逆に入場口へ向かうが、兵士に抑えられ壇上まで引きづられていく。 「ゼ、ゼナ先生!いや、ゼナじいさん…!どうしてボクがじいさんと…」 生き抜くことだけを、考えろ。ゼナはそう言うと師弟対決は幕を開けた。 「宿命だと思え、自分を乗りこえ本気でかかってこい!」 ちなみに試合中ゼナの攻撃はすべて当たらない。 倒す。勝利。 必死でゼナを抱きおこすフィレーナ。 ゼナはフィレーナを褒めると、一つの首飾りを手渡した。 「情報…管理局に行け。この、首飾りに… 『フィロセラの希望』…には…お前の…秘密、が……」 泣くフィレーナ。 「王女よ… さ…ら…ば……」 最後にそう言い残すと、ゼナは息を引き取った。 会場に流れる解説者の声。 「フィレーナ強い!師ゼナも倒した!しかしここまで来ると恐ろしい気がします! フィレーナには人の心はないのか!?」 ゼナの死体から離れようとしないフィレーナを兵士が連れて行った。 闘技場入り口では、フィレーナの劇で客が増えたと喜ぶ統率官と兵士達がいた。 306永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 20 22 ID crreefIS ゼナの遺言に従おうと思ったフィレーナは、酒場でネストに調べ物をしたいと話す。 「ドナ情報管理局へ行くといい…。データ分析室もあるしな…」とネスト。 クレチアが入ることはできないので、ネストについてきてもらう事になった。 情報管理局で合流という話になる。 情報管理局入り口で早速守衛にとっつかまるフィレーナだが 後から入ってきたネストの口ぞえで強引に押し通る。 建物の奥に進み、データ分析室に到着。 「使い方はこいつが教えてくれる。俺は外にいるから」というネストに フィレーナは何故自分に親切なのかと問う。 フィレーナが闘技場で闘う姿を見て、帝国に逆らいたかった自分に気がついたのだと言うネスト。 「男が男にホレちまったっていうか…。おい、誤解するなよ! その趣味はないからな、ハハッ」 ネストの退出後、データ分析マシンに向かうフィレーナ。 『コードSN098…。フィロセラの希望…セット。分析中…』 分析の結果、マシンは、フィロセラ製の映像記憶デバイスに残されていた情報を再生した。 マシンが映像を映し出す。ゼナの声が聞こえてきた。 「フィレーナ…これが海じゃ!お前の生まれたフィロセラの海じゃ… どうだ、美しいじゃろう。我らフィロセラの民は、この海の恵みによって豊かに暮らしてきた。 だが、16年前のある日…フィロセラは帝国軍に襲撃された! その日から何もかもが変わった…」 307永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 21 11 ID crreefIS 火が放たれる街や城。王宮の門前には争い傷ついた兵士達が倒れ 追い詰められた王と后、2名の側近、そして生まれて間もない王女がいた。 王と王妃はフィロセラと運命を共にするという。 ウト「王様!」 ゼナ「ならば、このゼナとウトも、フィロセラと共に…」 王はスッパリ却下すると、2人の側近に2つの フィレーナ を託した。 「さあ、王妃…」 「1つはこの フィレーナの剣 …。 海を守り、奇跡を起こすフィロセラの宝です…。これをウトに… そしてゼナには、愛する我が子 フィレーナ を…。どうか、お前だけは健やかに…」 「ゼナ…ウト…、よろしく頼んだぞ!」 「ハッ、お任せください!我ら2人の命に代えても…」ゼナが言った。 2つの フィレーナ が無事である限り、必ずやフィロセラは蘇る。 その言葉を残し2人に別れを告げると、王と王妃は王宮の中に入り、門を固く閉ざした。 「王様っ!」 陸地から離れていく城。王女と剣を抱え脱出していた2人が見たものは 海中に沈んでいく青きフィロセラ王宮であった。 王座に座った王と王妃。 王妃は我が子に語りかけた。 「さようなら、フィレーナ…。私たちの愛するフィレーナ…。 さようなら、フィロセラ……」 セピア化する映像。ゼナのナレーションが戻ってくる。 「王国の、ただ一人の王位継承者。それが、お前なのだ! フィロセラ王国の王女よ…、帝国の支配の中で死に絶えた海を 再び蘇らすのじゃ! そして、豊かなるフィロセラ王国をもう一度お前の手で……」 308永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 21 59 ID crreefIS ゼナは、帝国の首都ボーへ向かい、刀鍛冶のウトを訪ねるように言った。 ウトが奇跡の剣 フィレーナ を授けてくれるだろう、と。 最後にゼナは言った。 「…お前の正体は決して帝国に悟られぬようにな。 フィロセラの王女であること…そして女であること…」 映像が途切れた途端、赤い光と警告音。 データ分析マシンが『コード スクランブル 』を告げる。 再生されたデータの中に、帝国の最高機密に属する情報があったと告げる。 「利用者の人民コードを明らかにしてください」というマシンに慌てて近寄るフィレーナ 「お前、何やらかしたんだ!」ネストが室内に飛び込んでくる。 兵士に見つかると監獄行きなので逃げるに決定。 ガシガシ倒しつつ脱出する2人の前に入り口で揉めた守衛が登場。 「ネストさん、困りますね、これほどの死人をだしてもらっては… あなたが知った最高機密を話してもらいましょうか」 「最高機密だって!?」 ネストは外に出てたのでなんも知らないデス。 直後、守衛達が一瞬で消滅。何が起こったのか分からない2人。 柱から現れる黒い人影。 「帝国の機密に触れたものは黒い悪魔に出会う… 黒い悪魔に出あったものは死ぬ…」 ネストが動揺した。戦闘体勢をとるフィレーナに忠告する。 「フィレーナ、気をつけろ!こいつはただの兵士じゃない!」 瞬時にフィレーナの背後をとった黒い悪魔は「名もなく消えてもらおう!」と襲い掛かってきた。 倒す。勝利。そして脱出。 残された黒い悪魔はどこかに通信を入れる。 「こ、こちら…バラバ2…、逃げられた… バトラーのフィレーナと…バトル作家が…一緒だ…。 あとを…た、の…む…」消滅。 309永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 22 47 ID crreefIS 建物から出た2人。まずいことになった、というネスト。 黒い悪魔。噂で聞いたが、本当に見たのは初めてだという。 「 帝国機密情報兵団 。通称、 黒い悪魔 さ」 フィレーナが再生した情報が、軍を危険にさらす最高機密だったために 排除しようと駆けつけてきたのだった。 「一体何を調べたんだ?」という問いに答えられないフィレーナ。 ネストは無理に聞こうとはしなかった。 「ネスト、あなたを巻き込んでしまって…何と言って…」 詫びるフィレーナに、謝ることはないと返すネスト。 変な話だが、こうなる事を望んでいた気がする、と。 フィレーナは一度家に戻ろうとするがネストに止められる。 「でも、妻のリラが…」 「妻か…、よし、わかった。脱出法は俺が考える…」 手配されるのは時間の問題。フィレーナの家の前で落ち合う事を約束して ネストとは別れ、クレチア地区へ向かう。 自宅の扉を開けると中からリラが叫んだ。 「入ってきちゃダメ!」 帝国兵かと思いきや、飛び出してきたのはフィコスの妻、ミリカ。 傷つけるわけにもいかずじりじりと後退するフィレーナにミリカは何かを投げつけた。 「うわっ!」 跪いた姿を見て、慌てて飛び出してきたリラが二人の間に入る。 「あなた、フィレーナに何を…!」 「アッハハハッ、毒薬さ…!これでもう目は使えないよ!」 「何て酷いことを…!」 310永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 24 11 ID crreefIS 帝国の兵士が現れた。 「バトラーのフィレーナだな? 守衛および兵士殺しの罪により、お前を逮捕する!」 兵士の言葉に驚くリラを押しのけて、ミリカが前に出る。 「兵士さん、ご命令どおりこいつの目をつぶしてやりました」 兵士の反応は冷たい。 邪魔するならお前も逮捕するという兵士に向かって、約束が違うと叫ぶミリカ。 「早く息子を返しておくれよ!」 元より、クレチアとの約束など守るつもりはない兵士に向かって ミリカは悔し紛れに毒薬を投げつけた。 3人に近づいた兵士は、後方からレーザーのようなもので撃たれ倒れた。 背後から現れるネスト。 「このヘルガンの味はいかがかね?兵士さん」 「貴様、帝国人民のくせにクレチアの手助けをするつもりか…」 「もうオレは帝国人民をやめたんだ!」 ヘルガンをくらい、跡形もなく消滅する兵士。 「その声…、ネスト?」 ネストはフィレーナの目が見えない事に気がついた。 リラが毒薬の事を話し、ミリカを押す。 ミリカはミリカで、夫を殺され、息子を奪われた怒りが収まらない。 ネストは2人を一喝し、反逆者として指名手配をされるだろう事を手短に話すと脱出を提案した。 場所はかわって巨大なマシンが置かれているどこかの作戦本部。 先ほどまでのネストやフィレーナの会話がスピーカーから流れてくる。 椅子には、黒い悪魔と同じ格好をしたヤツが何人も座っている。 311永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 25 02 ID crreefIS 黒い悪魔バラバ1 「ネストか…?フン、バラバ2が知らせてきた反逆者の人民とはこいつのことか バラバ2といい、上級兵士に化けたバラバ6といい、情けないヤツラだ」 黒い悪魔バラバ3 「馬鹿め、油断をするからだ! しかしどうやら、女クレチアに持たせた毒薬のビンが トランスミッター(盗聴器?)とは気づいてない」 バラバ1が、ネスト達の行き先を尋ねた。 「養成所に行く…、脱出に地下の下水道を使うつもりだ」 「なるほど、バトル作家なら養成所の下水道ぐらい知っていてもおかしくはないな… ならば先に手をうたせてもらおう」 バラバ1は、バラバ4&バラバ5に通信を入れた。 一方、フィレーナ自宅前。 息子を残していけるものかとゴネるミリカを説得するネスト。 そしてリラは、フィレーナを傷つけられご立腹である。 「こんなおバカに手を貸すことないわ、時間の無駄よ」 ネストは諦め、盲目のフィレーナを連れて去ろうとするとミリカはやはり着いて来た。 養成所の中は燃えていた。火事に慌てるリラ。 「たんなる火事じゃないぞ…、門番兵もバトラーもいない」 ネストがそういうと、開いた扉からバラバが2人登場。4と5らしい。 「みんな消えてもらった。さぁ名もなく消えてもらおう… もうすぐ地下にも火の手が回る。そうすれば下水道は使えまい」 笑う4。舌打ちしたネストは3人を先に行かせると後を追った。 4人が地下に滑り込むと同時に入り口が崩れ、4と5を通せんぼ。 考えた挙句、4&5は養成所を爆破する事にした。 312永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 26 17 ID crreefIS 牢屋を通り、地下を走る4人。 毒薬のビンを落っことしたミリカが拾おうとするもネストに止められる。 フィレーナが異常な音に気がついた。 「爆破するつもりか、バカな…」 ネストはそういうと、奥の牢屋にあった隠し通路を開いて皆を通す。 下水道は、まだ火の手は回っていなかった。 ここでネストがフィレーナに「お前は俺たちの後からついて来い」というが これはフィレーナが盲目状態の為。 実際に列の先頭にすると、一歩歩くごとに画面がブレてもの凄く進みづらい事になる。 モンスターをガシガシ倒しながら下水道を進む4人ははしごを登って外に出た。 どこかの街の隅のようだ。 辺りを見回し、ここはどこ?と尋ねるリラに 「デラシーナ…、浮き草の街さ……」と答えるミリカ。 一人別の方角を向くフィレーナに、目は痛むかと聞くネスト。痛みはもう消えたらしい。 「それにしてもお前…。目が見えないくせに、よく下水道のバケモノと闘えたな…」 「それが不思議なんだ。なんていうか、こう、気配がして、相手の動きが読めるんだよ」 ネストに、根っからのバトラーだな、と言われる。ついでに女とバレた模様。 目の見えないフィレーナを補佐している間にどうも感づかれたような。 二人の会話はリラによって中断され、目の治療の為、医者を探す事になった。 この街に医者なんているのかな、と考えるネストを不思議がるリラ。 デラシーナは仕事もせずに浮き草のように遊んでいる住民ばかりなので そう呼ばれるようになった街。そんな場所に医者がいる訳ない、というミリカ。 「それより逃げるのが先だろうに。ホント、じれったいね!この世間知らずのおバカはっ!」 「おバカっ…!?あなたねぇ、もとはと言えば…」 またも間に入るネスト。ケンカしてる場合じゃない。 探すだけ探してみる事に決め、フィレーナの側に寄るリラとネスト。 「ネスト…、さっき君が言いかけたことだけど…」 「ああ、あれか…」 ネストは少し考えると、自分の勘違いだから気にするなと言った。 337永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 15 21 ID m3uWlXK9 ヨッパライと自称芸術家たちばかりの町を歩き、医者の自宅を発見。 「あんたが医者のキル?」 医者でその名前はどうかと思うが置いといて、ネストが尋ねると答えはyes。 だが酔っていた。事情を説明するネスト。 「実はな、毒薬で目を…」 「フム…ヒック!わしの見事なダンスにちゃんと反応しているが…」 「目が見えないのは、ボクじゃなくて隣のフィレーナですよ!」 それを早く言わんかい、とヒックヒック言いながらフィレーナを診察するキル。 彼の診断によると「要手術。でも今は無理。5日後に来てチョーダイ(要約)」と出た。 準備が必要で(体から酒に抜いたり)特に薬草はバイセーラ(行商人)が来なければ 手に入らないのだと言う。それが5日後。 待ってる間に失明しては大変だと、ネストは手術に必要なデラの薬草を取りに行く事に。 「デラの薬草は川を下った浮き草の氷穴にある」 浮き草の氷穴。バケモノが潜む暗い氷の穴。 それを聞いたフィレーナが自分で行くと言い出した。 危険な上に、帝国の追っ手もかかってる。 これ迷惑はかけたくないと言ったトコロで、リラに怒られる。 「リラはあなたの奥さんよ…。迷惑だなんて…悲しいことは言わないで!」 ネストも同意。皆同じ運命だからと。 意外にもミリカも同意する。 船頭に船を借り、川を下って浮き草の氷穴へ。 薬草もどきのマンドラゴラと戦いながら薬草をゲットしてデラシーナへ戻る。 キルの家に入ると、手術の準備はできていた。 隣のフィレーナを見つめたリラがキルに頼み込む。 「キルさん…お願いします」 キルは頷くと、フィレーナを案内するネストと共に手術室へ入っていった。 ネストが退出し、手術が始まる。 338永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 16 46 ID m3uWlXK9 「聞こえるか?リラ」 扉に耳をつけ中の様子を伺うリラとネスト。後ろで見てるミリカ。 「うわっ!何だこりゃ!」キルの声に飛び上がるリラ。 手術室。 「シーッ!キルさんお静かに…。皆が驚きますよ」 あぁすまん…というキル。 「あり?すまんじゃないよ」 目の手術で胸を見るものなのかよく分からんが、女とバレた。 会話の詳しい内容までは聞こえない外の3人。 「エッチでもしてるんじゃ…」と言うネスト。 「真剣な顔して何言ってるの。フィレーナは男よ!」 とリラに睨まれ、そうか…そういうことになってたな…と焦る。 「まさかネストさん…フィレーナの事…」 そこまで言うと手術が終了し、キルが部屋から出てきた。 手術は成功した。目に包帯を巻いたフィレーナがキルに続いて出てくる。 皆のおかげだよ、と礼を言った。 「ところで、このムスメだが…」 「ム・ス・メ…?」キルを睨むリラ。 「いや、もとい、このフィレーナの事だが、完全に目が治るまでは包帯は絶対とらんように」 完治する前に光が入ると、本当に失明してしまうという。 一段落ついたところで、キルが皆に尋ねた。 「ところでどうやってこの街から脱出するつもりだね?」 一応指名手配&逃亡中なので驚くネスト。 「そのムスもとい、フィレーナに聞いたんだが都のボーへ向かうのだろう?」 慌てて、行くのは自分だけです!という包帯のフィレーナ。 「夫の貴方がボーに行くのなら、妻であるリラもついていくわ!」とリラ。 何を言っても引き下がらないだろうリラの勢いに、何やら羨ましがるキル。 339永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 17 51 ID m3uWlXK9 キルは何かを思いつくと、奥の部屋から獣耳の仮面(猫っぽい)と衣装を持って戻ってきた。 「これはミメズの仮面だ…。ミメズに潜り込めば、黙っていてもボーに行ける筈」 どうやらその集団は検問もフリーパスらしい。 ミメズって?と尋ねるリラ。 「デビスの神に仕える為に入信した女たちのことでな… 集団となって踊りながら神殿のあるボーを目指すんだ…」 ただし、キルが持っていた仮面は3つ。盗賊に襲われここで亡くなった女のものらしい。 ミメズの仮面は帝国が支給しているものなので購入もできない。1人分足りない。 ミリカが降りた。 「3人で使えばいい、そんな格好するのはゴメンだよ」 その言葉には、どこか思いやりがあった。しかしネストが却下する。 「いや、ミリカ…。お前もこれを使って逃げるんだ。 ドクターキル、俺はこんな仮面なんていらない」 「ネスト、あんたは?」 そう尋ねたミリカに自力で脱出するというネスト。 「これでも軍人の家の生まれなんだぜ…。帝国人民の扱いはまかせろ」 頷くキル。元よりネストが女装する方に無理がある。 後はミメズの踊りを覚える為に、町に残ってる集団を探してマスターする事に。 今更だが不思議がるネスト。 「帝国人民であるあんたが、どうしてこんなに親切に…?」 キルは答えた。同じ穴のムジナ、帝国に逆らうバカ者って事だと。 フィレーナがキルに改めて礼をいった。 ネストは皆に挨拶すると、再会を約束して去っていった。 その後ろ姿を見ながら、いい男だというキル。 「何をボケッと見ておる。仮面をつけて行け」 踊りをマスターしなくてはならないので、ミメズの衣装に着替える3人。 赤青黄色の信号機3人組になり、餞別アイテムも貰ってレッツゴー。 街で発見したミメズを追って劇場に入ろうとすると、兵士に声をかけられた。 少々古いタイプの仮面を不審に思う兵士にあたふたと答えるリラ。 340永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 18 54 ID m3uWlXK9 場所は変わって、再びバラバの作戦会議室(略してバラバ室)。 部屋には兵士と質問に答えるリラの声が流れている。 それを聞きながら話すバラバ達。 バラバ1 「聞こえるか?兵士に化けたバラバ7の会話だ… 怪しいな、バラバ3、どう思う?」 バラバ3 「3人か、一人足りんな…。それに、たしかキルとか…」 バラバ9 「ドクターキルのことだ…。秘密実験に手を貸すのを拒んだためクビになったやつだ! だがバラバ7が今話してる者が仮にフィレーナの一味だとして… なぜ帝国人民のキルと結びつくかだ…?」 バラバ3 「もう少し調べてみよう… 先ほど養成所の後から、バラバ4と5の死体が発見された… ヤツらの死体も出てくるかもしれん」 バラバ1 「情報管理局でのバラバ2と合わせてこれで3名の団員が死んだのだ… まだフィレーナの一味が生きている可能性があるうちは… 疑わしきもの…、全てを消す…。人目につかぬ場所でな……」 バラバ9 「キルについては別に利用法がある。 仮にヤツらの仲間だったとしても生かしておこう…」 1は、兵士に扮した7に、ミメズ3人をマークするように命を出した。 去っていく兵士を見ながら、胸をなで下ろすリラ。 先ほどのミメズを追って劇場地下のミメズ集会所へ降りていく。 341永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 20 04 ID m3uWlXK9 すんごい踊り狂ってるミメズ集団発見。この踊りで都ボーまで行くらしい。 奥にいたミメズリーダーに踊りを教わる3人。 手本を見せ、自分の踊りを繰り返すように言うが、仮面の下は包帯のフィレーナには見えない。 「すみません。この人少し、覚えが悪くて…」 何とかごまかすリラ。もう一度お願いしますと言うとミリカと2人でフィレーナの手を握る。 「フィレーナ、行くわよ…。手を離さないで…せーの…」 何とか踊りはクリアーできた。ミメズリーダーが去り際言った。 「でももう少し離れた方がいい。 手を繋いで踊るなんて、あまり見かけないからね」 出発場所の北検問所では、ミメズの踊りをチェックしてから通していた。 やはり手を繋いで踊る3人。 誘導と勘で踊るフィレーナの動きを変だという兵士に 「この人ったら、ちょっと男っぽくて…」とごまかすリラ。 「…そうそう!うちの妹ときたら、オホホッ! いつも姉さんが女らしく踊りなさいって言ってるでしょ。オホホホッ!」 ミリカの怪しいフォローで更に疑われるフィレーナ。 「調べさせてもらうぞ」 「キャッ!」 「うちの妹に何するんだい!」 「胸を触るなんて…、この変態兵士!」 「う、うるさい!これも仕事のうちなんだ。男が化けてる事もあるからな…」 セクハラ呼ばわりされた兵士は、半ばヤケになって検問所の中に通してくれた。 やはりネストじゃ無理だった。 検問所内にて。 フィレーナを男だと思っているミリカは、バレたら大事だったと焦る。 先ほどの『キャッ』を演技だと思って褒めた。 何となくリラの方をむくフィレーナ。 342永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 21 08 ID m3uWlXK9 検問所の扉が開き、ミメズ集団が外へ出て行く。 前の集団を見ながら呆れるミリカ。いつまで踊り続けるのやら。 リラが答える。 「だから、ボーにつくまでよ。食事と寝る時を除いてはずっと踊り続けるのよ!」 「そりゃ大変だ」 「あら、無理しなくてもいいのよ? あなたは私たちと別に行けば…。この大わがままのおバカッ!」 口論に発展しかけたところでフィレーナがリラを止めた。 「さあ行こう!おいていかれちゃうぞ…!」 怪しい仮面の女集団は、踊りながら都ボーを目指す。 バラバ室。バラバ1が他のバラバの意見を聞いている。 (もう以下、番号で) 3「作戦Bで、ヤツらの野宿中を狙おうや(意訳)」 1「アホか、他のミメズに見つかるやん。作戦Aにしとき(意訳)」 結局多数決で作戦Aになりました。 野営に入ったミメズ集団に、リーダーの黒ネコが呼びかける。 「今夜はここで一夜を明かすから、適当に休んでおくれ!」 火を囲んで休息をとるミメズの輪から少し離れた場所に座り、フィレーナ達は眠りについた。 綺麗な音色で目を覚ましたリラは、川べりに座って笛を吹くミリカに話しかける。 ミリカは、息子のフィスが好きな子守唄だと言った。 「そうだったの…」 帝国に捕まったままの息子を心配するミリカを励ますリラ。 「ありがとう、優しいんだね、あんた…。」 「フィレーナも言っていたわ。ミリカさんは私たちの仲間だって」 昼間に喧嘩した事を、フィレーナに叱られたと笑って言うリラ。 「仲間か…、仲間って、いいもんだね…… リラ…もう休んどくれ…。あたしも、寝るからさ」 「フィレーナの横に来なさいよ…。その方が、暖かいわよ…」 リラはフィレーナの側に戻り、ミリカにそう言うと眠りについた。 隣に来てフィレーナの顔を眺めるミリカ。 「あたしのせいで失明するかも知れないってのに一度も責めないんだね… ゴメンよ、フィレーナ……」 343永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 22 17 ID m3uWlXK9 朝、ミメズリーダーこと黒ネコに声をかけられ用事を頼まれる3人。 道の先にある橋で、ミメズを襲う山賊が出るらしいので様子を見てきて欲しいという。 なぜそんな危険な事を自分たちが?とミリカ。 「見たところ、あんたたちはとても仲がよさそうだからね… ただ、それだけのことさ。こういう危険な仕事は、チームワークが大切なんだよ」 そういわれると断りにくい3人は引き受ける事に。 リーダーに教えられた道を歩いていくと深い谷に渡った橋についた。 山賊の目につかないよう、ミメズの衣装は脱いでいく。 草むらで着替えることになった。 「フィレーナ…、目の具合はどう?」着替えながらリラが訪ねる。 包帯をとるにはまだ早すぎる。フィレーナはそう言いながら考えた。 「でもその代わり、音のする方向がとてもよく分かるようになった…。 今も、リラやミリカさんの動きが、手に取るように分かるよ」 「やだよ…フィレーナ。あたしらが着替えてるところイメージしてたのかい? あんた、そんな顔して案外エッチなんだね」←男と思ってる。 怒るリラ。 「何バカなこと言ってるのよ!それより早く着替えましょ…」 リラがフィレーナの着替えを手伝い、ミリカの方を振り向くと仮面と格闘している。 ミリカの仮面がなかなか脱げないので、先に2人で行く事になった。 ようやく変装をとき、2人を追いかけようとしたミリカは 不自然に後をつけるミメズリーダーを発見する。 「…あいつ、怪しいね…」 橋の上で周囲を見渡す2人。フィレーナは背中合わせに立っている。 リラが特に異常なしと判断していると、フィレーナが誰かの足音に気づいた。 「ミリカさん…?」 「いや、違う。近づいてくる…」 344永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 23 24 ID m3uWlXK9 フィレーナが向いた方向をリラが見つめると、黒ネコが姿を表した。 「びっくりした…、黒ネコさんだったの…!」安堵するリラ。 「どうだい…、山賊の様子は?」 「ええ…、今のところは…」そう答えながら黒ネコの方に歩きだしたリラを厳しい声が制止する。 「動くな!お前らとの追いかけっこはここでゲームオーバーだ!」 黒ネコは仮面を脱ぎ捨て、バラバ7になった。 「黒い悪魔!フィレーナ、これは罠よ!」 バラバ7は不敵に笑う。その背後の岩に身を潜めて忍び寄るミリカ。 「俺たちを知っているとは、やはりフィレーナの一味だったか… この爆弾で橋もろとも消えてもらおう!うん…?」 1人足りない事に気がついたバラバ7は、死角から飛び出してきたミリカに 爆弾ごとガツガツ押され、あっさり谷底に落ちていった。 ケガの巧妙だね…と笑い、ミリカが2人の元へ行こうと橋に上がった瞬間。 地の底から響いてくる音と揺れ。 フィレーナが叫ぶ。「爆弾の音だ!」 谷底に落ちた爆弾が爆発し、橋が巻き込まれそうになる。 向こう側へ走る3人。ミリカがこける。 「ミリカさん!早く!」 リラが呼ぶと同時にミリカとの間に爆発で生じた火の玉が落ち、橋が崩れだす。 とっさにリラを抱えて走るフィレーナ。 橋は瞬く間に燃え、ミリカと共に落ちていった。 「…そ…ん…な…」谷底を見ながら崩れ落ちるリラと立ち尽くすフィレーナ。 呆然としながら、フィレーナを見たリラは、その頬を流れる涙に気づく。 「…フィレーナあなた、その目で何が起こったのか…、全て…」 「ミリカさん…、せっかく友達に……」 こんな別れになるなんてひどすぎると叫ぶリラは、足元に転がる笛を見つけた。 ミリカが転んだ時に投げ出されたようだ。 彼女の形見。「いつか必ず息子のフィスに手渡そう」 そういうフィレーナの言葉に、笛を拾い上げるとリラは頷いた。 404永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 04 12 ID awscL8O6 生きるため、そして約束を守るため、2人は帝国の都ボーを目指した。 山を抜け、雪山の中にある洞窟を発見し、入ろうとすると男が飛び出してきた。 「何の目的でここにきた!」 じりじりと迫ってくる無骨な男に怯えてリラがフィレーナの後ろに隠れる。 登ってきた方向から、男達が走ってきた。 「ラリス!大変だ!ゴア橋が消えちまったんだ…!」 驚くラリスという男。 赤毛の青年が2人に目をとめると、ラリスは帝国のスパイかもしれんと言った。 他の男達がリラとフィレーナを包囲する。 その様子を見ながら、ラリスが赤毛に尋ねた。 「アベル…、どう思う?」 あの2人の事か?と返すアベルにラリスは、ゴア橋の事だと言った。 結局洞窟の中に入って話すことになり、2人も連行される。 静かになった雪山のふもとに、バラバが4名ほど追いかけてきていた。 洞窟に入って話すアベルとラリスに仲間の山賊たちが報告。 作戦本部のレーダービジョンに黒い悪魔らしき影が映ったという。 驚く山賊たち。アジトが帝国にバレたのか…?とアベル。 ラリスが部下に、注意するように命じると偵察に向かわせた。 アベルは、リラとフィレーナを捕らえていた部下をつれ、出口へ向かう。 山賊が確認した影はやはり黒い悪魔だった。 405永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 05 26 ID awscL8O6 一方ラリス。帝国のスパイかどうか調べる、ついて来いと言う。 それに反応したフィレーナが、帝国の悪魔の事を話そうとするが相手にされない。 「嘘じゃない!」 「それじゃ何のために?」 自分を殺すためだというフィレーナ。 そこへ黒い悪魔こと、バラバ8が息を切らせ入ってきた。 「フィレーナ、ついに見つけたぞ!山賊にまぎれるとはいい思い付きだったが… まあまとめて消えてもらおう!」 ラリスも入れて戦闘開始。倒す。勝利。そして8は消滅。 バラバ室でレーダーを見ていた1は、8の生命シグナルの消滅を確認し憤怒した。 「脱走バトラー一人を消すために一度に4名も団員をおくってこのザマか!!」 一方、戻ってきたアベルたちもボロボロ。 「俺たちで2匹を消したが、ひきかえに16名の仲間の命が…」 「高い代償だったな…」 フィレーナが2人の前に出て詫びた。自分が黒い悪魔を呼び寄せてしまった。 ラリスは責めなかった。 一緒に闘って好感が沸いたのか、訳あり謎あり女つきのフィレーナを気に入った模様。 「へえ、ラリスが他人を褒めるなんて、珍しいこともあるもんだ」とアベル。 用心のためアベルは出入り口を完全封鎖、ラリスは別の洞窟の様子を見に行くことになった。 ラリス曰く「化け物とか出るけど奥にアジトがあるんで自分等で行ってくれ(要約)」 そこで落ち合うとしよう!そういうとラリスは部下を伴い出て行った。 フィレーナ達はラリテニア洞窟をワシワシ進む。 暗号を解いて開いた扉の先は、洞窟の中にある村だった。 406永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 06 35 ID awscL8O6 「ようこそ、わがリトルラリテニアへ」 舌を噛みそうな迎え文句をいいながらラリスが現れた。 改めて自己紹介をする3人。 ラリスは、山賊を名乗ってはいるが実際は反乱軍を率いているのだという。 この村と反乱軍を隠すために、山賊を隠れミノにしているのだ。 「ここでは薬草が特産品なんだ。畑に行けば、その目に効く薬草もきっと見つかるはずさ…」 ラリスは作戦本部に戻るが、長老の孫娘に伝えておいたからまず長老に会えという。 長老に会いに行くも、お昼寝中。 孫のマーゴットを探し出し、ようやく目覚めた長老に挨拶した。 長老がフィレーナの包帯に気づき、目を状態を調べる。 「ほほう…、この目にはキキリキの薬草がよく効くべ…」 と言いながら薬草畑への通行許可をくれた。 『許可は出すからユアセルフ』お言葉に甘える。 畑に到着したものの、その種類の多さにどれがキキリキの薬草がわからないリラ。 ここで待っていて、と言うと走って長老宅に戻っていった。 バラバ室。 さらに追加で送りこんだバラバ11情報によると、一面雪景色で逃走ルートが発見できないらしい。 3が1に尋ねた。山中に潜伏した可能性は? 「山中に潜伏だと…?」 リラの帰りをボンヤリと待つフィレーナに、ラリスが話しかけてきた。 どうかしたのかと尋ねるラリスに、薬草見分けがつかねッスと言うと 村の外の人間に見分けは難しいか、とキキリキの薬草を見つけてくれた。 自分もワンパクが過ぎたせいで何度この薬草世話になったかわからないというラリス。 薬草を手に、何故黒い悪魔に狙われるのかと尋ねてきた。 407永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 07 55 ID awscL8O6 フィレーナが事情を話し終わると、ラリスは言った。 「ボーで刀鍛冶に会って、それからどうするのかは知らないが この村で一緒に生活するのも悪くないと思う」 無理にとは言わんが、と付け加える。 「なんて言ったらいいのかな…。洞窟で別れた時から何かお前見てると胸キュン(要約)」 戻ってくるリラ。ラリスに気がつく。 「あらっ、ラリスさん、どうかしたの?顔が赤いわよ…」 いやその今日は暑いな…といってごまかすラリス。 リラはラリスが手にしている薬草を見つけ、いいとこあるのねと褒めた。 薬草を押し付けそそくさと家に戻るラリス。リラは変だと思いながらも、フィレーナに向かう。 「さあフィレーナ…。目の手当てをするからこっち向いて?目は開けちゃダメよ」 リトルラリテニアの作戦会議室で部下たちと話をするアベル。 何やら切羽詰まった様子で、代役を探すように手配している。 手当てを終え、包帯を巻きなおしたリラ。 「どう…、気持ちいい?早く目が治ったらいいわね… そうだ…、長老さんにお礼を言わなきゃ!」 長老に礼を言った後で、ラリスへの伝言を頼まれて家を訪ねる。 本人は留守だったが、ラリスの母に教えてもらい教会の地下の反乱軍の作戦本部を訪れた。 作戦本部にはラリスがいた。村長に呼ばれてる旨を伝える。 本部内を見学していると、何やらラリスとアベルが話し中。 ラリス「密売の代役には自分が行く」 アベル「リーダーにもしもの事があったら困る、別のものに行かす」 黒い悪魔との戦いで、密売を担当していた仲間が死亡した為 代理でラリスがトロッコの洞窟にはいるらしい。 フィレーナとリラは、ラリスに同行する事にした。 長老に報告し、マーゴットから、薬草の入った袋と洞窟の鍵を受け取る。 鍵をつかって内部に入ると、ポイントを切り替えたりしながらガシガシ進んだ。 408永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 09 00 ID awscL8O6 取引場所に到着。 ラリスは2人を死角になる位置に隠れさせると、取引相手を待った。 「変だな…、薬草の買人はまだきていないようだ… 約束の時間に遅れたから帰っちまったのかな…」 一方、バラバ8の生命シグナルが消えたポイントに到着したものの 未だにフィレーナ達の行方が掴めないバラバ14と18。 14は岩の壁に近づき、念入りに調べる。 「…分かるか?洞窟の跡だ…。バラバ15はどこへ行った?」 18が答える。 「バラバ15は、この先を調べている。別の洞窟らしき穴を見つけたそうだ」 フィレーナ達が入ってきたのとは反対方向の通路から、買人が入ってきた。 「旦那、遅すぎですぜ…、待ちくたびれましたよ…」 ラリスを見て、いつもの売人と違うと疑う買人。 代役だ!というと、話を先に進める。 ラリスが薬草の入った袋を渡す。「確かめさせてもらいますよ」 袋をうけとった買人は、数歩歩くと脱兎の如く逃げ出した。 「おい!金はどうした!?」追いかけるラリス。 買人はイカダを使って洞窟内を流れる川を渡り逃げてしまった。 「クソッ、はめられた!」 ラリスの後を追ってきた、フィレーナとリラ。 「逃げられちゃったわね…」 「人の足元を見やがって…。密売だから仕方がない…」 俺がバカだった、とラリス。 「人を信用するなっていういい教訓だったな。作戦本部に帰ろう」 409永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 10 03 ID awscL8O6 薬草をタダでゲットした買人は、不運な事に出口でバラバ15と鉢合わせ。 「死にたくなければ答えるんだ…」 15はフィレーナについて聞くが、買人が知るはずもない。 「そんな男は知りやせんよ…、あっしはここの村人と仕事を…」 「村!?ここに村があるのか!」 「はっ…、反乱軍の…村で…」 詰め寄る15。「反乱軍だと!!」 買人を壁に投げつけガンで始末すると、外のバラバ達に連絡する。 「バラバ18…聞こえるか。ヤツの逃げ場所が分かったぞ! それに大きなオマケもついた…」 村に戻ると、帝国軍がリトルラリテニアへ向かっているという噂が広がっており 皆が不安そうにしている。 作戦本部でアベルに、密売失敗しましたーと報告。 気にするなと言うアベルの言葉に甘え、隣室で休む3人。 早くにラリスに起こされたフィレーナとリラ。 事情を説明しようとしたところにアべルが飛び込んでくる。 「ラリス!帝国の軍隊だ…、今、レーダービジョンに…」 「…、……!」 会話を聞いて、フィレーナが訪ねた。 「どうしたんだ、ラリス!」 「出入り口を閉ざしたはずのラリテニア洞窟が発見されたんだ…。帝国のヤツらにな…」 アベルは、いち早く村の女子供を山の上に逃がしていた。 ラリスが頷く。子供たちが生きていれば、ラリテニア復興の火種は消えない。 アベルは、ラリスと挨拶をかわすと、部下を連れて部屋を出て行った。 410永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 10 53 ID awscL8O6 フィレーナとリラに状況を説明するラリス。 「レーダービジョンによれば、この村に向かっている帝国軍隊は 大隊1つと中隊3つ…」 多すぎる。村も人も全て潰す気だ、と舌打ちする。 フィレーナはまた自分を責める。 お前のせいじゃない、いずれ時間の問題だったんだ、とラリス。 リラが慌てた。フィレーナが自分の包帯を外そうとしている。 「ダメよ!包帯をとっちゃ!完全に治らないうちに光が入れば失明するって…、……」 包帯を外したフィレーナ。 「…ボクも闘う…!」 目を開くフィレーナをリラが見つめる。 フィレーナは瞬きをするとリラに言った。 「リラ…、よく見えるよ!」 フィレーナの瞳は回復していた。 初めて顔を見たラリスが、綺麗な目だ、男にしとくのもったいないと褒めた。 「殺すのも勿体無いな!」 先ほど出て行ったアベルが一人の部下を連れ戻ってきた。 「アベル…?」 その後ろから別の部下がヨロヨロと追ってくる。 「ラリスさん…!気をつけて…、そいつらは…」 アベルの部下が蹴り倒し、そして言った。 「お前たちの仲間と同じように、名もなく消えてもらおうか…」 アベルたちが変装を解き、バラバが2人現れた。 「黒い悪魔…!」フィレーナの声。 ラリスはフィレーナとリラを連れ、奥の扉へ入ると追ってこれないよう中から閉ざした。 階段をおり、トロッコのレールが敷かれている洞窟を進む。 411永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 11 52 ID awscL8O6 途中でフィレーナの足が止まった。 「フィレーナ…、どうした?」ラリスの声にリラも振り返る。 「ラリス…、どこに行こうとしてるんだ…」 「どこって…、お前等を逃がすために…」 「ボクにも戦わせてくれ!」 戻ろうとするフィレーナをラリスが押しもどす。逃げろと言う。 「俺たちの村は俺たちで守る!」 「しかし…」 「お前はボーに行くんだろ!それに…、生きていてほしいんだ… 何故だか分からないが、お前には生きていてほしいんだよ!」 押し合っているうちにフィレーナの胸に触ったラリスが驚きの声をあげる。 また胸でバレた。 「そうだったのか…」 後方で見守っていたリラがフィレーナの腕を取る。 「フィレーナ…、行きましょ!ラリスさんの好意を無駄にしないで…」 そこまで言うと、フィレーナの顔が赤い事に気づく。 ついでにラリスも見るとこちらも赤い。焦りながら足早に進んでいった。 二本のレールのある場所でラリスに追いつく。 トロッコに乗るよう指示するラリス。 足を向けたものの、フィレーナは振り返る。 「ラリス…、ボクは…」 ラリスはフィレーナの言葉を遮ると、背を向けた。 「ようやく分かったよ… お前を見るたびに俺の胸がどうにかなりそうだった訳がな…」 412永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 13 20 ID awscL8O6 バラバの声が聞こえた。 「見つけたぞ!!」 「ヤツラが来た!早くトロッコを出すんだ」 ラリスの名を呼ぶフィレーナに、早く行けと叫ぶ。 フィレーナとリラをのせたトロッコはゆっくりと発車し、トンネルの中に吸い込まれていった。 追いついてきたバラバ14と15。 ラリスは二人の前に立ちふさがるが、壁に叩き付けられる。 バラバ達はもう一つのトロッコに乗り込み、フィレーナ達の後を追った。 並走するバラバとフィレーナ達のトロッコ。 途中2手に別れたり、また戻って並んだりしながら若干バラバトロッコの方が追い越しながら走る。 トンネルに入り、外に出ると、両方のレールは真ん中でぷっつりと途切れていた。 先に飛ぶバラバトロッコ。向こう側につくものの微妙に足りず 飛び移れなかったバラバ15もろとも谷底に落ちていく。 フィレーナ達の乗ったトロッコは問題なくレールの先に着地。 だが残った14が武田鉄也ばりにトロッコの前に飛び出し、根性で止めた。 「フィレーナ!ここまでだ!」 戦闘開始。ボコる。勝利。 息を切らせながらリラに安否を問うフィレーナ。 「えぇ…、何とか生きてるわ。…フィレーナ、何してるの?」 トロッコのレバーをいじくるフィレーナ。動かない。 「貸してっ!おりゃ!」 「うわっ!」 急速発進するトロッコ。 しばらく走ると、今度は先のないレールを行き過ぎて止まった。落ちた。 トロッコから投げ出され、気を失った二人を老人が発見する。 「あんれまあ…、こんなところで寝てるとクレチア狩りに襲われるべ」 意外とパワフルなじいちゃんは二人を引きずって帰宅した。 457永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 34 17 ID i/hYkze7 目を覚ますと、見知らぬ家だった。隣のベッドでリラが寝言を言っている。 「元気になるまでゆっくり休んでいきんしゃい」 親切な老人夫婦に介抱してもらったらしい。 首都ボーへ行く方法を尋ねると海を渡る必要があるらしい。 ここより北の村モンシューレから帝国の船が出ていると教えてくれた。 じいちゃんはラリテニアン(ラリテニア人)で、帝国の世になってからは ばあちゃんとひっそり暮らしているという。 目を覚ましたリラと共に、老人夫婦に礼を言ってモンシューレを目指す。 元軍事基地・モンシューレ。 乗船するには、航海管理所で許可証を貰わなくてはならないが 当然クレチアの2人に発行してくれるはずもない。 宿に泊まれるのも乗船客だけだというので、親切なクレチア女性の家に泊めてもらう。 翌日泊めてもらった礼を言うと、定期船に密航するヒントを教えてくれた。 村の井戸から繋がった通路を通って、船に近づけるのだという。 かなり深い井戸らしいので、ロープが必要らしい。 街中にそれらしいものはなかったので灯台へ探しに行ってみる。 灯台には帝国人民達が物見遊山に来ていたが、汚れた海を恐ろしいと怖がっている。 話したがりのおっさんから、色々な話を聞いた。 帝国が作った定期船や灯台は、海の民の技術を真似したものだったが どれも成功しなかったと言う。 戦艦として作った船→海上で戦えずやむなく定期船に。 この灯台→光らない。だから夜間、船は海を進めない。 海の民の技術は特別なものらしい。 何故かおっさんの背後にあったエレベーターを使って地下室へ。 458永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 35 20 ID i/hYkze7 リラが何かに足をとられ、悲鳴を上げてすっ転んだ。 「じっとして…」 リラの足に絡みついていたロープを痴話喧嘩しながらゲット。 街の深い井戸にかけ、降りていく。 通路を上り下りしながら進んでいくと、出口と思われる場所から男が一人出て行った。 フィレーナ達と同じ密航目的のクレチアだろうか。 海岸に出て辺りの様子を伺うと、ちょうど見回りの兵士たちが船に戻っていくところだった。 こっそりと船に近づいていく。急に警報音が鳴り響いた。 慌てて身を隠すと、先ほどの男が兵士に連行されて船室から出てくる。 「またクレチアの反逆者か!ゆっくり自白させてやるっ」 建物内に連れて行かれる男と兵士。 他の兵士たちも休憩やーと船から降りていった。 「何とか助けたいところだが、時間がない!リラ、早く乗りこもう!」 密航成功。 バラバ室。 通信機で会話をしているバラバ1。 ラリテニア反乱軍なぞ放っておいてフィレーナを探せと通信機に怒鳴った。 3「ヤツであると断定はできんが、モンシューレ村のクレチアの家に 見知らぬ旅人が泊まっていたらしい… 定期船に密航しようとした者から自白マシンで聞き出した情報だ…」 1「それは信用できる情報か…!?」 3「定期船ドックの軍隊長に変身しているバラバ19からの報告だ…」 459永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 36 03 ID i/hYkze7 船はモンシューレから出航する。でも夜間なので海上で停止状態と思われる。 堂々と部屋で休むフィレーナとリラ。 リラが隣のベッドのフィレーナに話しかけた。 「フィレーナ…、起きてる?」 「ああ…、起きているよ…」 「波の音…、聞こえる…?」 「ああ…、聞こえるよ…」 「とっても静かな夜ね…」 再び名を呼ぶリラにフィレーナが答える。 「何だい…?」 「そっちに行ってもいい…?」 沈黙。 静かにベッドから起き上がるリラ。 「リラ、不安なのかい?心配はいらないよ… この船に乗っているって事が乗船許可が出ている証明なんだ…」 疑われる心配はないよ、というフィレーナ。 リラはわかってる、と答える。 「ただ、あなたの近くにいたいだけ…」 それだけ言うとリラは、フィレーナのベッドに潜り込んで眠った。 次の日、船は海岸に到着した。 陸地を北東に上って、鉱山の村にたどり着く。元の名前はエルシューレ村。 帝国の支配下に入って以来、鉱山の村と、兵器を作るトマの村の二つに分けられたそうな。 460永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 36 44 ID i/hYkze7 ボーへ行きたい→トマの村通らにゃ→入り口に見張りいる→証明がないと通せないネー …という事で鉱山の現場主任のレパードに 証明である「アルメイの星」を発行して貰おうとするが、断られる。 鉱山の労働者にしか発行できないらしい。 仕方なしに宿屋に戻ると、ラリスの仲間だという女性に話しかけられた。 リトルラリテニアから、フィレーナ達と同じく密航し 夫は鉱山で働きながら帝国の仕事をスパイ中だという。 鉱山で働く彼女の旦那ヌーノに会いに行き事情を話すと アルメイの星を発行してもらえるよう、レパードに頼んでくれるとの事。 ヌーノの口利きで、2人は来月から鉱山で働くという話になっており レパードから証明のアルメイの星をゲット。 宿舎の老人曰く『トマの村、兵器開発で毒ガス充満、これ危険(要約)』らしいので 道具屋で防護服を買っていく。門番兵にアルメイの星を見せてトマへ向かった。 村に到着。 毒ガス吸ってアヒャヒャな住人が走ったりしてる。 当初の計画では、この村を通ってボーへ向かう予定だったのだが この村、出口がない。 トマの宿舎で暮らしている少女クシカが 「鉱山の村に住んでるおじいちゃんなら知ってるかも」と教えてくれた。 どうやら毒ガスについてアドバイスをくれた老人の事らしい。 鉱山の村に戻り宿舎の老人に会いに行く。 老人曰く「あの村出口なし、孫にヨロシク(要約)」 力になれんですまんの、とじいちゃんは謝った。 仕方ないのでトマに逆戻り。 461永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 37 47 ID i/hYkze7 クシカに会いに行くと不在だった。 どうやら子供の遊び場になっている村の廃屋(元宿舎)に行ったらしい。 追いかけるフィレーナとリラ。そう、じいちゃんのヨロシクを伝える為に。 屋敷内。奥の扉に入ろうとすると村の子供が飛び出してきた。 続いてクシカも出てくる。2人を見て不思議そうな顔をした。 フィレーナが子供たちに尋ねる。 「こんなところで、一体何をしてるんだい…?」 「何って…、みんなでかくれんぼしているの…」 よく見ると、他にも何人か子供が顔を覗かせている。 リラは幽霊屋敷を不気味がるが、クシカにからかわれる。 「デタ━━━(゚∀゚)━━━!!」 地下の階段から上がってきた人影に子供達が叫んだ。 バラバ室。 フィレーナと医者にはまだ捕まらない。ラリテニア反乱軍ともゴタゴタしている。 バラバ1はご立腹である。 「秘密実験に参加させるために医者を生かしておこうと言ったのは バラバ9、確かお前だな!」 「まさかヤツが逃げるとは…」と言い訳する9。 キルは自分が逃亡する際に、実験用に捕らえていた子供も連れて行ったのだ。 フィレーナ達の足取りは、モンシューレ村から掴めなくなった。 一緒に逃亡したハズのバトル作家とクレチア女ミリカの行方も知れぬまま。 3 「医者とガキの足跡は、掴んでいる… バラバ16と17の報告によれば、発見するまでにそう時間は…」 1 「その報告ならすでに聞いている! 俺が言っているのはもう失敗は許されんということだ! 脱走した医者が関わった秘密実験もフィレーナが分析機から知った情報も 我が帝国の最高機密なのだぞ…!」 ふと疑問に思った3が、フィレーナが知った最高機密について1に尋ねた。 1は答えた。ブレーン様しか知らんし、知る必要もないと。 462永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 38 47 ID i/hYkze7 一方幽霊屋敷。 地下室からのっそり上がってきた人影を見て、クシカも悲鳴をあげた。 リラと子供たちはフィレーナの後ろに隠れる。 黒い人影が怒鳴った。 「誰がユーレイじゃ!ワシはまだ生きておるぞ!」 現れたのは、デラシーナで別れたドクターキルだった。 フィレーナを見て、目が治ったことを喜ぶキル。 「しばらく見ないうちに女っぽくなったのう」 そう褒めた後で、明らかについでにリラも可愛くなったと付け足す。 ジト目で見て、キルに詰め寄るリラ。 「…男のフィレーナのほうが、私よりも女らしいって言うの!?」 リラをなだめるフィレーナ。キルは事情を話す為に2人をつれ地下室へ降りていった。 好奇心旺盛なクシカがその後を追い、他の子供たちは帰っていく。 そして男が1人、屋敷に入ってきた。 地下でキルの経緯を聞く。 デラシーナで別れた後、帝国の秘密実験から逃げてきたのだと言う。 話の内容がよく分からないクシカ。 キルはクシカを見ると、思いついたように物陰に隠れている子供に声をかけた。 「ぼうず…出ておいで。大丈夫だ…悪い人たちじゃないよ…」 ゆっくり姿を見せる幼い男の子。 逃げてくる時に、一緒に連れてきたのだと言う。 「まったくワシになつかんでな。名前すら教えてくれんのだよ」 「だっておじちゃんの顔、こわいもん!」 クシカはそう言うと、男の子に優しく話しかけた。 その様子を見ながら、やはり子供には子供だと言うキル。 出てきた男の子の顔を見たフィレーナは驚いた。 「…フィス?フィスじゃないか!」 リラも気がついた。 男の子は、帝国に捕まっていたミリカの息子フィスだった。 463永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 39 24 ID i/hYkze7 「お父ちゃんを返せ…」 フィスがフィレーナを叩く。 様子がおかしいと気づいたキルが声をかけるが、フィスは目の前の相手を睨んだままだ。 「お母ちゃんは…?お母ちゃんはどこ!?」 屋敷一階。 後から入ってきた男が、一階に火を放っていた。 どこかに通信を入れる。 「聞こえるか…?逃げられた場合に備えてそこで待機していてくれ… 相手は2匹だけじゃなかった…。とんでもない大物を見つけたぞ!」 フィスはフィレーナに詰め寄る。 「嘘つきっ!」 「フィス…信じてくれ…。フィス!」 階段を駆け上がり1階へ走るフィス。後を追うクシカ。 苦い顔のフィレーナをキルが慰める。 ふと思いついたリラ。 「ところでキルさん…逃げてきたって言っていたけど、いったいどうやってこの村に?」 キルが説明しようとした時、クシカが駆け下りてきた。 「大変!火事よっ!!」 「火事?……ぼうずは?」 クシカは首を横に振る。火の手が地下にも迫りつつある。 「もう上の階は火の海だな…」キルがそう呟いた。 1階では、バラバがゲットしたフィスを引きずって屋敷を出るところだった。 464永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 40 06 ID i/hYkze7 本棚の裏の隠し扉内に避難しながら、黒い悪魔と機密情報兵団について キルに説明するフィレーナ。いぶかしむキル。 「仮にそうだとしても、何故この宿舎にまで火をつける…?」 「ただの火事に見せかけて、都合の悪い者を人知れずに消す… それが黒い悪魔の手口なんです」 今までのストーカーされた経験からそう答えるフィレーナ。 多くの危険を背負い込んで、何故ボー行きに拘るのか。 そう尋ねるキルにフィレーナは答えた。自分の宿命だと。 キルは決心を知ると、くれぐれも無理はせんようにと言った。 隠し部屋内にある梯子から、地下を通って外に出られそうだ。 フィレーナはキルとクシカに、火事がおさまるまでここにいるように言った。 「ボクたちはボーへ向かいます」 リラが自分たちが使っていた防護服を手渡す。 キルは2人を見た。 「フィレーナ…リラ…。わしは2人の事が…大好きだ! 自分の子供のようにさえ思える。命を無駄にせんでくれよ!」 「ドクターもお元気でっ」 「また会えたら、かくれんぼしようね!」 クシカの言葉にリラが笑顔で頷く。 2人は地下を通り抜け、やがて出口を発見した。 465永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 41 16 ID i/hYkze7 バラバ室。 通信機から連絡が入る。 「…間違いない、フィレーナも一緒だった!」 1 「バラバ16、でかしたぞ! 地下道の出口には誰がいる?」 16 「バラバ17がいる…!」 1 「バラバ16、後の仕事はバラバ17に任せて お前はそのガキを早く実験室へ…」 外へ出ようとしたフィレーナとリラの前に待ち伏せていたバラバ17が現れた。 こんストーカー!とばかりにボコる。勝利。 「リラ、大丈夫か?」 「心配しないで…」 しかしバトラーのフィレーナはともかく、リラの疲労は激しく足取りは重い。 数歩先で立ち止まり、振り返るとフィレーナは言った。 「…ボーへ行く前に、泊まれるところを探そう…」 何かを察したリラが、フィレーナに詰め寄る。 「そんな事言って、1人でボーに行くつもりでしょ!」 「いや…そうじゃ……」 言い終わる前にフィレーナに抱きつく。 「リラは離れないわよ!だって、あなたの奥さんだもの…」 必死でしがみつくリラを離そうとするが、離れない。 困って「女同士なんだからさ…」と言ってみる。 「い・や・よ…!」 根負けした。 「分かったよ…!一緒にボーに行こう」 顔を輝かせ、フィレーナから離れるリラ。 「ホント?ホントね!」 喜ぶリラにため息をつくフィレーナだった。 49永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 00 21 ID TzIYx1ZY 海岸に沿って南下していくと、浜辺にいる女性と黒い大きな犬に出会う。 リラが話しかけてみる。ここはエルシューレの内海岸らしい。 黒い犬がフィレーナに近寄り、匂いを嗅いでいる。 女性がフィレーナを見た。 「へえ、あんた…。男の姿をしているけど女なのかい」 「こ、この人は私の夫なのよ…!?」 リラがごまかそうとするも、狼犬の目(鼻)はごまかせないと笑われる。 「このギャッピーはね、オオカミの血を引く犬なのさ」 女性は、アマネラと名乗った。 草原に男たちが集まっている。クレチアを狩るハンターの集団だった。 1人が仲間達に呼びかけた。 「リーダーが全員集合しろってよ! やはりこの近くにクレチアどもが集まっているらしいぜ?」 海岸。 ボーに行きたい事を話したフィレーナ。 「無茶をするねぇ…」 アマネラは呆れながらも、困ったことがあったら 自分たちの遊牧民の集落に来るように言ってくれる。 リラは、アマネラの腹のふくらみに気がついた。 「アマネラさん…そのお腹…」 「もうすぐ産まれるんだよ」アマネラは笑顔を見せた。 クレチアはあらゆる人権を帝国に奪われている。出産も許可なしではNG。 「出産の許可かい…?そんなひどい決まりはまっぴらごめんだよ! クレチアだって人間なんだ。人を愛すれば、子供も欲しいさ」 彼女の集落はそういうクレチア達が集まって構成されたものだった。 「私の友人だといえば、集落の中に入れるように言っておくよ」 そう言い残しアマネラはギャッピーを連れ、去っていった。 50永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 01 29 ID TzIYx1ZY 遊牧民アマクネ族の集落。 勇敢な男性はモンスターやハンターと戦って死んでいったため数が少なく 残った男達はちょっと情けない。女性の方が戦士な集落。 中に通してもらうと、アマネラが迎えてくれた。 身体を休めていけというのでお言葉に甘える。 彼女は、フィレーナ達が都に入る方法も考えてくれていたらしく 1人の知り合いの老人の名をあげる。 「詳しい話は、明日あたしのテントで」 次の日、アマネラのテントを訪ねると彼女の様子がおかしい。 リラがその枕元に駆け寄る。 入り口からアマネラの友人、エクレが入ってきた。 「心配することじゃないよ。病気なんかじゃないさ」 苦しい息の下でアマネラは笑う。 「この…アマネラさんをこんなに苦しませるなんて…きっと、タフな子だよ」 どうやら産気づいたようだ。 リラが、慌てるフィレーナを落ちつかせるために言った。 「大丈夫よ…。私、一度お産を手伝ったことあるの… 苦しそうに見えるけど、皆こういうものなのよ」 エクレが励ます。リラも励ます。 フィレーナは別の方を向いていたが、アマネラに見ていってくれと頼まれる。 「クレチアだって、立派に…子供が産めるってことを…ね」 フィレーナはアマネラの傍らに座った。 51永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 02 28 ID TzIYx1ZY バラバ室 また逃げられてお怒りの1となだめる3。 「落ちつけバラバ1…。ヤツは何か目的があるに違いない! ただ逃げ回っているだけとは思えん」 1は頷くと、バラバ21の報告を聞いた。 21 「ゴア橋の近くで発見した死体は仲間の女クレチアに間違いない… 秘密研究所からの報告によれば、トマで見つけたモルモットのガキは その死体の子供だったらしい…」 バトル作家と医者の行方は未だに不明。1はフィレーナを先に探し出すように命じる。 通信機に別のバラバから連絡が入った。 「バラバ25より報告…。デビス陸軍隊とラリテニア反乱軍が ただいま全面戦争に入った……。聞こえるか、どうぞ…」 集落に響く赤ん坊の泣き声。 「アマネラさん、女の子よ!元気な可愛い女の子よ…!」 リラが疲労困憊のアマネラに報告する。 母となったアマネラは、我が子を見て言った。 「この子が子供を産む頃には、クレチアでも帝国人民でもない ただの元気な子を産める世の中にしたいもんだね…」 リラは頷き、2人の言葉にフィレーナは考え込んだ。 「出産ってなんて素晴らしいのかしら…」 リラは生命の誕生に目を輝かせて感動している。 赤ん坊の声を聞き、テントに顔を覗かせたギャッピー共々 アマネラを休ませるため、エクレに追い出される。 テントを出ようとするフィレーナとリラに、アマネラが礼を言った。 52永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 03 23 ID TzIYx1ZY アマネラが休養中のため、しばらく集落をブラつく。 東のピルキット山を登っていくと、見張り役の女性が駆け下りてきた。 「大変だ!アマネラさんに知らせないと…!」 そのまま集落まで降りていく女性についてアマネラのテントへ。 赤ん坊を残して、寝床はもぬけのカラだった。 エクレが言うには、報告を受けたアマネラは様子を見に 山を登って行ったそうな。タフだ。 追いかけようとテントを出ると、ギャッピーが心配そうに鼻を鳴らしている。 「ギャッピー…アマネラさんはどこ?」 キュンキュン鳴くギャッピー。 フィレーナはリラに言った。 「アマネラさんは、クレチアハンターの噂を聞いて、あの身体で調べに出て行ったらしい」 別の意味で驚くリラ。 「あなた…ギャッピーと会話もできるの?」 「クォン…クォン…」 「わかったよ、ボクらだって心配さ…!」 フィレーナはギャッピーの視線の先を見た。 「あっちの山に向かったみたいだな…よし、行こう!」 ギャッピーを手に入れた! オリゴット山に登ると、ギャッピーが中へ入って鼻を鳴らす。 アマネラの声が返ってきた。 「ギャッピーじゃないかっ!集落から出ちゃいけないとあれほど言ったのに…」 53永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 04 17 ID TzIYx1ZY 出てきたアマネラは、フィレーナとリラを見てさらに驚く。 「アマネラさん、ここにはクレチアハンターが…」 「知っているよ、だけど助けは必要ない」 みんなを巻き込みたくないというアマネラ。 あんたらも集落へ戻り→出産直後で無茶言うなや→心配いらんて→いや手伝うって そんな問答をしていると、洞窟内の様子を見に行ったギャッピーが戻ってきて低く唸る。 「来たか!!」 アマネラと赤ん坊を気遣うリラ。 「そんな体じゃ無理よ…私たちも一緒に闘うわ! それに…あなたにもしものことがあったらボーにも行けなくなっちゃうしね…」 「…ありがとう」 アマネラは静かに礼を言った。 山の中腹でアマネラが膝をついた。 「アマネラさん!やっぱり出産の疲れが…」 「なんのこれしき…、大丈夫さ…」 ギャッピーが前方に向かって低く唸った。男の集団が降りてくる。 リーダーがアマネラを見た。 「これはこれは…、アマクネ族の若き女族長さんか?」 アマネラはクレチアハンターを睨む。帝国の犬どもめ。 「まったく威勢のいい女だ。その強気をどこまで通せるかな?」 ボコる。勝利。 「ヤツら、リーダーを失って慌てふためくだろうさ。これで集落はしばらく安全だ…」 一緒に闘ってくれて、嬉しかったというアマネラ。 ギャッピーがフィレーナに何か言っている(犬語で)。 「フフッ…、ギャッピーも2人に感謝してるってさ! さあ、集落に帰ろう」 Part2